No.75 労働契約法の安全配慮義務とは [2012.11.16]

No.75 労働契約法の安全配慮義務とは   [2012.11.16]
こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。

労働時間の管理に関連した問題をお伝えしてきましたが、
本日は、
「労働契約法」の「安全配慮義務」についてお伝えします。
「使用者は、労働契約により、
労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することが出来るよう、
必要な配慮をするものとする。」
(労働契約法第5条)

労働契約法では、使用者(雇用者)の安全配慮義務を
このような形で規定しています。

通常、労働者は、
使用者(雇用主)が指定した場所で供給される
設備や器具などを用いて労働に従事しています。

このため、労働契約の内容として具体的に定めなくても、
当然に使用者は、
労働者を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務
を負っているとされ、
この点は判例においても明示されています。
仮に職場で安全配慮義務違反があった場合、
労働基準法などの罰則が適用されるばかりでなく、
労働者本人またはその遺族等から
高額の損害賠償金を請求されることもあります。

特に過労死などでは、
”億”単位の賠償金の支払いを命じられた判決もあり、
企業のリスク管理を考える上では、
その対策が避けては通れません。
安全配慮義務違反の成立には

①実際に損害が労働者に発生した
②使用者に結果発生の予見可能性・回避可能性があり、
回避義務があるが、これを尽くさなかった
③損害と安全配慮義務違反行為との間に因果関係がある

がポイントとなります。
そこで対策としては、

①労働者の(作業上などの)危険防止措置
②労働者の健康障害防止措置
③安全衛生管理体制の確立
④機械等及び有害物に関する規制
⑤健康の保持増進のための措置
⑥快適な職場環境の形成
⑦安全衛生計画の作成

などについて、
ご自身の環境に即して具体的に考えることが大切です。
また、労働者の健康配慮義務も大切です。
長時間労働は、
思わぬ賠償問題に発展する可能性もありますし、
労働時間の管理には特に注意が必要です。

メンタルヘルス不調対策、労災対策にも、
第一は、労働時間の管理が非常に重要になります。

健康と法律を守ることで、
業務の効率化と残業代削減など、いろいろな面に効果があります。

ぜひ、この機会に、職場の点検を行ってください。
本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

ひばり通信(ニュースレター)12年11月号を作成いたしました。

ひばり通信11月号表紙(PDF)

ひばり通信(ニュースレター)12年11月号を作成いたしました。

記事の閲覧をご希望の方は、
恐縮ですが、「お問い合わせ」よりご連絡ください。
メールにてお送りいたします。
(次回より、毎月新号をメールにてお送りします。)
バックナンバーご希望の場合は、その旨をご記載ください。
お役に立ちましたら幸いです。

 

2012年11月号【目次】

01: 労災事故による企業へのダメージ
02: 問題事実を記録する意味
03: 会議でアイデアを出す方法
04: (話題のビジネス書)新幹線お掃除の天使たち
06: 労災による賠償リスクチェックシート

No.74 <残業代>全額支払われているのは「5割」【ニュース】 [2012.11.07]

No.74 <残業代>全額支払われているのは「5割」【ニュース】   [2012.11.07]
こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。
本日は、ニュース記事よりお伝えします。

残業代についての調査結果です。

前回、厚生労働省の取組、
「労働時間適正化キャンペーン」についてお伝えしましたので、
タイムリーな調査結果です。

ただし、このニュースをそのまま受け取るだけでなく、
工夫できることが多くあると考えております。
従業員さんの健康と、「会社」を守り、
さらに発展させるため・・・
対策をぜひ、ご一緒に考えていきましょう。
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<残業代>全額支払われているのは「5割」…連合総研調査
毎日新聞 11月5日(月)
残業代を全額支払われているのは2人に1人--。
労働問題のシンクタンク、連合総研の調査で、
こんな残業事情が浮かんだ。

調査はインターネットを使い、
首都圏と関西圏の
20~64歳の民間企業労働者2000人から回答を得た。

残業手当が出る人で
手当全額が支払われているのは46.9%。
前年同時期の調査から8.9ポイント低下した。

支払われる額の4~6割が不払いは5.5%▽
2~4割が5.3%などで、
残業代が全く支払われていない人も6.3%いた。

支払われているかどうか不明と答えた人も29%で、
賃金がブラックボックス化している側面ものぞかせた。
また、残業時間を申告していない不払い残業がある
とした人は35.3%で、
1カ月の平均時間は21.3時間になった。

申告しなかった理由は、
働いた時間通り申告しづらい雰囲気(36.3%)
▽残業代に限度がある(24.2%)--などが挙がっていた。

連合総研は
「残業代の不払いは違法行為だということを
労使ともに認識することが重要だ」
と話している。
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就業規則等の規定でできることや、
業務効率化への取組、等により、
労働時間の削減と残業代の削減をご提案いたします。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.73 「労働時間適正化キャンペーン」実施《厚生労働省》 [2012.11.01]

No.73 「労働時間適正化キャンペーン」実施《厚生労働省》   [2012.11.01]
こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。

本日は、「労働時間適正化キャンペーン」についてお伝えします。
2011年の統計によると、
1週間の労働時間が60時間以上の労働者の割合は
9.4%となっています(総務省「労働力調査」)。
特に、30代男性では18.4%と高い水準にあります。
厚生労働省では、
長時間労働や、これに伴う問題の解消を図るため、
毎年11月は「労働時間適正化キャンペーン」期間とし、
長時間労働対策に取り組んでいます。
このキャンペーンで重点的に促される事項は次のとおりです。

①時間外労働協定の適正化等による時間外・休日労働の削減

・時間外労働協定(36協定)は、
時間外労働の延長の限度等に関する基準に適合したものとすること
・特別条項付き36協定等により、
月45時間を超える時間外労働を行わせることが可能な場合でも、
実際の時間外労働については月45時間以下とするよう努めること など

②長時間労働者への医師による面接指導など
健康管理に関する措置の徹底

・産業医の選任や衛生委員会の設置など健康管理に関する体制を整備し、
また、健康診断等を確実に実施すること
・長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対し、
医師による面接指導等を実施すること など

③労働時間の適正な把握の徹底

・賃金不払残業を起こさないように、労働時間適正把握基準を遵守することなど

そんな長時間労働など、うちの会社ではしていないから関係ない、
と思われる社長様もいらっしゃると思いますが、

時間外労働のとらえ方は正しいでしょうか?
計算の仕方は正しいでしょうか?
時間外労働の管理を、従業員さん任せにしていないでしょうか?
労働時間の管理は、業務の生産性に密接に関係しますし、
従業員の適切な健康管理も重要です。
また、
メンタルヘルス不調となる従業員には、長時間労働が大いに関係します。

従業員の健康を守り、
業務効率化によって生産性を向上し、
そして・・・残業代の削減にもつながります。

この機会にぜひ、業務の棚卸を行い、
無駄な残業時間はないか、チェックしてみてください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。