No.30 給料計算の不徹底による損失について [2012.06.09]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
給料計算は、自社でされていますか?
専門家にアウトソージングされているでしょうか?
本日は、給料計算における社会保険について、
その不徹底による損失についてお話します。

社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)や雇用保険料は、
頻繁に見直しや保険料率の改定があります。

そのことは「おぼろげには知っているけれど、徹底はできていない」
そうおっしゃる経営者は、意外に多いように感じます。

少ない金額であるものの、塵も積もればバカにはできません。
実際のケーススタディを見ながら、損失の程度を見ていきましょう。

【菓子製造業 Y社の例】

<会社データ>
株式会社Y社
業種    :菓子製造業
従業員数    :15名
※10名が社会保険加入、残りパート

標準報酬月額の内訳:平成23年9月~
社長62万円、マネージャ(1名)41万円、社員24万円
※全員40歳未満
<発生したミスの内容>
平成22年6月にマネージャの給料を36万から41万へ変更したものの、
天引きする保険料を変更しなかった。

また、平成22年9月以後、全員分について
(法令その他による毎年の)保険料天引き額の変更をしなかった。
【検証してみましょう】

それでは、このミスに関して、
平成23年9月現在の保険料控除の差額を検証してみましょう。
<ポイント1>

平成23年3月の健康保険料改定に不対応(9.32%→9.48%)

標準報酬総額2,950千円 × 0.16% ÷ 2 × 6ヶ月= 14,160円

<ポイント2>

平成22年9月の厚生年金保険料改定に不対応(15.704%→16.058%)

標準報酬総額2,950千円 × 0.354% ÷ 2 × 12ヶ月 = 62,658円

<ポイント3>

マネージャの月額変更に対し、保険料を改定せず

(410千円-360千円 )× 12.512% × 12ヶ月= 75,072円

合計額:151,890円
この差額151,890円は
、設定条件における「従業員からの天引き漏れ」の年間の総額です。
これは、つまり、
予定外の法定福利費を負担していることを意味しています。

この金額は、Y社のメイン商品(水菓子@300円)に換算すると、
実に506個もの廃棄処理をした計算になります。
いくら日々の商品の取り扱いに厳しく目を光らせていても、
給与計算ミスにより
これだけのロスを生むことは
看過できないといえるのではないでしょうか。
社会保険料の改定については、専門家からの情報提供を継続的に受け、
給与計算額のチェックを受けることが出来るよう
仕組み作りしておくことが大切です。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。