No.31 社会保険料、変更したけれど。【実例】 [2012.06.10]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
【実例】(設定は、実際とは少し変えています。)
W氏は仕事も人生も経験豊富な営業社員で、
誘われて、ベンチャー企業に立ち上げから参加し、
営業社員として働いています。

会社はまだ安定とはいえず、本部機能もまだ手探りです。

事務系の業務は、最初はベテランさんが来てくれましたが、
現在は、Sさんが担当しています。
事務の経験はあるとのことだったで、事務はひととおり任されていました。
さて、W氏は、家庭の事情もあり、
外に出ることの多い営業から、社長と相談して、
内勤が主の、企画やマネジメントを担当することになりました。
営業手当から業務手当に変更になったため、
給料の額も変更となりました(けっこう下がりました)。
さて、内勤に変わってから初めての給料が出ました。
W氏は、以前に、人事の部門で働いたこともあり、
社会保険料がおかしいことに気付き、
すぐにSさんに電話で伝えました。

Sさんはしかし・・・間違いと言われてもピンときませんでした。
念のため、年金事務所にも聞いてみましたが、
間違いは発見できず、そのままに何もせずに放置。

次の月もその次の月もそのまま。

しびれを切らしたW氏、直接Sさんに訴えました。
Sさんはようやくなんとなくはわかった様子で、
それなりに間違いを直してみました。
Sさんの間違いは、
W氏の給料が下がったことで、
その金額に合わせて社会保険料の等級も変更してしまったというもの。
社会保険料は、変更から4か月目にようやく変更になります。
本来、履歴のわかる「賃金台帳」を見れば、
給料計算のわかる人なら一目見てわかる間違いだったのです。
年金事務所に賃金台帳を持って行って聞けばすぐにわかったのですが、
電話で質問したこともあり、間違いの発見には至りませんでした。
年金事務所は、そこを直してしまうとは思わなかったのでしょう、

あまり経験のない方では、こういう間違いも起こるのですね。

Wさんも、社会保険料がすぐに下がるなら嬉しいことですが、
すぐに下がらないことは知っていたので、
あとから請求されると大変だと思い、Sさんに伝えたわけです。
もし、Wさんでなかったら、気付かなかったかもしれません。
そうすると、Wさんからの社会保険料の控除額は減らしたけれど、
社会保険料は自動振替で支払いますから、
Wさんの負担分も、ずっと会社が負担していた可能性があります。
そして、年金事務所も指摘していませんから、
「月額変更届」も出さず、
Wさんの給料控除だけを変えていた可能性もあります。

会計でも、本来なら「預り金」で処理をしますが、
社員負担分をただマイナスしている会社もありますから、
ここも、通常チェックしていなければ、
気付くきっかけにはなりません。
さて、間違いを直してみたSさんですが、
たまたま経験のある人に見てもらったところ、
残念ながら、直したところにも間違いがありました。
ちょうど、雇用保険料と健康保険料の料率が変更になった時だったのです。
給料ソフトを使っているといえども、
基礎知識がないとなかなか難しいのが給料計算です。
社会保険料だけではなく、残業代など、意外と難しいのです。

当オフィスでは、アウトソージングはもちろんのこと、
新しく事務を担当される方等への研修メニューも用意しています。
(同時に経理も指導できます。)
質問無制限のコースもありますので、
給料計算についても、お気軽にお尋ねください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。