No.40 私生活上の犯罪・非行に対する解雇は有効か [2012.06.19]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
No.39では、会社の責任のある従業員の事故について考えましたが、
本日は、従業員が犯罪等を犯した場合を考えてみます。

酒に酔って暴力事件を起こした、
窃盗や不法侵入などの犯罪行為を働いて逮捕された、
痴漢等の性犯罪の加害者となった、など、
私生活上の犯罪行為や非行を理由とした解雇は有効でしょうか。

私生活上の犯罪行為等について、
会社として心情的に許せなくても、
安易に解雇をしないように注意をしなければなりません。
以下のポイントに沿ってその是非を検討してください。

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【1.犯罪の程度】
「懲役刑なのか、数千円の罰金刑なのか」といった
刑罰の重さは解雇有効性に影響を与えうるポイントです。
例えば、「酒に酔って住居不法侵入により罰金刑に処された社員を解雇した」
事案では、
懲戒解雇の相当性がないということで解雇無効の判決が下されました。

【2.職種】
職業に貴賎はないとはいえ、
その職業に特に求められる倫理と、
起こした犯罪のバランスもポイントとなります。
プロボクサーが暴力事件を起こした場合は厳しく罰せられるのと同様に、
例えば乗客の痴漢を厳しく取り締まるべき鉄道会社の社員が、
自ら性犯罪を犯した場合は、解雇の有効性を認められやすいでしょう。

【3.就業規則上の根拠】
もちろん就業規則上にその根拠がなくてはなりません。
「刑法上の犯罪を犯し、会社の信用を著しく落とした場合は、懲戒解雇とする」
などの規定があるかを確認しましょう。

【4.会社の信用を落とした程度】
「事件がメディア報道をされた」「会社にマスコミの取材が来た」
などの事実の有無と、
その程度もポイントとなります。

【5.解雇の場合に労働者が受ける不利益の程度と、事件とのバランス】
「解雇となった時に、退職金が不支給または減額となる」
などの規定がある場合、
そのマイナス分と事件の重大性の
バランスが取れていることも求められるでしょう。
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上記ポイントを踏まえて処分を検討してください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。