No.68 問題社員の解雇について① [2012.10.05]

こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。

本日は、解雇についてお伝えします。
社長様からは特に質問の多いトピックですので
ぜひご参考にしてください。
問題社員の解雇については、
ご存知のようにかなり高いハードルがあると言えます。

日本では、終身雇用制度を前提とした労働理論が発展しており、
社員を一人前に育てて、その能力を高めるのは
採用した会社の責任であるという考え方がベースになっています。

つまり、問題社員(特にその能力不足による)の解雇については、
「会社側がその問題点を注意・指導する段階があるかないか」
が重要になってきます。

以下、問題社員の解雇事案について裁判所で重視される要素を示します。
【1.解雇する前に、配置転換や職種の変更などで様子をみたか?】
他の上司のもとで異なる職務をさせると、
能力を発揮しだすこともある。
そのチャンスを与えているのかを見られます。
環境か仕事内容を変えてみたか、ということです。

【2.会社側に落ち度はないか?】
問題社員の問題について、
会社の制度や体制に落ち度がないかを見られます。
会社にも原因がある場合、
一方的な解雇は不公平とされる可能性があります。
例)教育や研修が不十分である、
上司の指示が不明確・不適切である

【3.即戦力として中途採用された者か、新卒か?】
新卒であれば、とくに会社の教育責任の度合いは強いでしょう。
単に期待された能力がないことだけで解雇をすることは
難しくなります。
一方、即戦力として中途採用された者について、
その採用面接で「即戦力として求めている能力」をはっきりとさせ、
かつ、それが一定の常識的な条件下で出来ないときには
解雇等もあり得ると伝えている場合は、
解雇の有効性が高くなるでしょう。

【4.勤続年数はどのくらいか?】
勤続年数が長ければ、
基本的な能力には問題がないはずだという推定が働きます。
つまり、
「基本的な能力が足りないならば
もっと早い段階で処分や再教育があったはず」
という考えが出てきます。
これらを考えると、
経営者は雇入れの段階から
「教育コストはかかるもの」という認識でいたほうがよいでしょう。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
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