No.61 妊産婦雇用について [2012.08.30]

こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。

この7月から、改正育児・介護休業法が中小企業にも全面施行となりました。
出産や育児については、いろいろと制度が変わってきていますね。

本日は、労働基準法による妊産婦の労働について、
確認をしていきたいと思います。
(その他の制度等については、また別の機会にご紹介します。)
労働基準法では、母体保護の観点から、
妊娠中の女性の労働について制限が設けられています。
(労働基準法第65条(産前産後))

<産前産後の就業制限>
会社は、出産予定日の6週間前の女性が休みを申請した場合、就業させてはならない。
(双子以上の場合は14週間)

会社は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。
ただし、産後6週間を経過した女性が申請した場合、
医師が問題ないと認めた業務に就かせることができる。
つまり・・・

[出産前]
妊婦さんが休みを申請しなければ、産気づく直前まで就業させることができる。

[産後6週間]
産婦さんが休みの申請をしなくても、休ませなければならない。

[6~8週間]
本人が復帰を希望し、医者が大丈夫と認めた場合のみ、就業させることができる。
なお、この産前産後の日数カウントには、以下のようなルールがあります。
産前6週間のカウントは、出産予定日を基準とする。

産後8週間のカウントは、現実の出産日を基準とする。

出産日当日は産前6週間に含まれる。

出産予定日よりも遅れて出産した場合、
予定日から出産当日までの期間は産前の休業に含まれる。
例)出産予定日が7月1日、現実の出産日が7月3日だった場合
産前休業:5月21日~7月3日(6週間)
産後休業:7月4日~8月28日(8週間)
なお、育児休業期間は、
「産後休業が終わった翌日~子供が1歳になるまで」を指します。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
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No.60 中3生、解体工事現場で労災死【ニュースより】 [2012.08.10]

こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。

前回、年少者雇用についてお伝えしましたが、
年少者雇用はそれほど身近ではない、ということを書いた矢先、
悲しく悔しい事故が起こってしまいました。

複数のニュース記事によると、
食い違いが見られ、事実関係の不明な点がありますが、
複合的な問題が潜んでいるようです。

記事により、毛色の違いが見られますが、
ひとつの記事の紹介にてご了承ください。
本日はニュースをお伝えして留めさせていただきます。

ご冥福をお祈り申し上げます。

(ニュース記事内の実名を伏せさせていただきました)

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中3労災死、業者「学校から頼まれて雇った」
読売新聞 8月10日(金)

群馬県桐生市の中学校体育館で、
解体作業をしていた栃木県足利市五十部町、中学3年A君(14)が
ブロックの下敷きになって死亡した事故で、
石井君を雇用していた群馬県太田市の解体業者は9日、取材に対し、
「学校側から頼まれたから雇った。日当は5000円だった」
などと話した。

解体業者は
「7、8年前から計20人ほど不登校などの中学生を受け入れてきた。
学校や親から頼まれた時だけで、
社会人になる手伝いになればと思っていた」
とも証言。
A君とは別の中学数校から依頼を受けたこともあったという。

業者は
「両親に申し訳ないと思っている。今後誠意を持って対応したい」
としている。

労働基準法では、建設業などで中学生以下の年少者の雇用を禁じている。
A君が通っていた足利市立西中の板橋文夫教頭は
「校長や担任が業者に伺い、『お世話になります』と頼んだこともあった。
中学生が働いてはいけないのはわかっていた」
と述べ、学校側が依頼していたことを認めた。
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本日も、「ひばり人事労務コラム」
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No.59 年少者雇用について [2012.08.02]

こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
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本日は、年少者雇用についてお伝えします。

普段、年少者を雇用することにはほとんど縁がないと思いますが、
テレビなどを見ていると、
とても若い芸能人で「労働基準法のために・・・」
という話が出てくることがありますね。
そんな時のための豆知識としていただければと思います。

労働基準法では、
労働契約を結ぶことができる年齢に制限が設けられています。
(第56条)

【中学校卒業までは原則雇用禁止】
原則として、
満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、
つまり中学校を卒業するまでは
雇用してはならないことになっています。
ただし、次のような例外があります。

—————————————–
<満13歳以上の児童を雇ってもいいケース>

以下のすべてを満たした場合。
非工業的な業種であること
児童の健康及び福祉に有害ではなく、労働が軽微なものであること
労働基準監督署長の許可を受けていること
修学時間外に使用すること

例えば、中学生を新聞配達員として雇うことは、
労働基準監督署長の許可を得た上であれば可能ということです。

—————————————–
<満13歳未満でも雇っていいケース>

映画の製作、演劇の事業であること
児童の健康及び福祉に有害でなく、労働が軽微なものであること
所轄労働基準監督署長の許可を受けていること
修学時間外に使用すること

例えば、ドラマに出る子役やアイドルグループなどはこれに該当しますね。
(詳しい突っ込みはナシで。)
—————————————–
【高校卒業までは証明書が必要】

なお、高校生以下を雇用する時は、以下のように規定されています。
(第57条)

満18歳未満の人には、年齢確認のため、戸籍証明書を提出してもらうこと
満15歳の年度末までの児童には、
戸籍証明書に加え、
修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書
および親権者か後見人の同意書を提出してもらうこと
(事業場に備え付けること)
本日も、「ひばり人事労務コラム」
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No.58 有給休暇の計画的付与について [2012.07.20]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
有給休暇の取得について、
有給推奨日と、計画的付与についてご紹介しましたが、
「計画的付与」についてもう少し詳しくご説明します。
(昨日と重複するところもありますがご容赦ください。)

≪年次有給休暇制度≫

年次有給休暇いわゆる「有給休暇」は、
労働者の心身のリフレッシュを目的として定められた休暇です。
会社は勤続6か月以上の労働者に対して、
下記「年次有給休暇の付与日数」を上回る休暇を与えなければなりません。

6か月・・・・・・・・・10日
1年6か月・・・・・11日
2年6か月・・・・・12日
3年6か月・・・・・14日
4年6か月・・・・・16日
5年6か月・・・・・18日
6年6か月~・・・20日
※8割以上出勤が要件
しかし、多くの中小企業では
「有給休暇を取りにくい」という労働者が大半だと思います。
この現状を改善するために、
有給休暇の計画的付与が定められました。
≪計画的付与とは≫

年次有給休暇の計画的付与とは、
「労使協定により、
年次有給休暇の一部をあらかじめ指定された時期に与える」
ことを指します。

「普段はなかなか有給休暇を取りにくいから、
この時期にまとめて取りましょう」
という制度です。

計画的付与は、以下手順により定めることが出来ます。
1.計画の詳細を労使で話し合う。

【職場全体の休業による一斉付与の場合】
具体的な付与日または取得時期・日数の決定
【班などの交代付与の場合】
班ごとの具体的な付与日または取得時期・日数の決定
【個人別に付与する場合】
計画表を作成する時期、手続き等について決定

2.決めた内容について労使間で協定を締結する。
(労働基準監督署に対する届け出は不要)
≪計画的付与制度を生かす具体例≫

現状、有給休暇がまったく取れていない事業所は、
まず

「お盆などの帰省時期や7~9月の行楽時期に
2~3日の有給休暇計画取得を定める」

ことから始めてはいかがでしょうか。
そうすることで、
労働者側から見ると帰省や家族との交流がしやすくなりますし、
会社としても有給休暇の取得率を上げて
コンプライアンス的観点での改善を図りつつ、
従業員満足度を上げることができます。
代替要員の確保が難しい中小企業は、
一括付与すると人手不足に陥ってしまう場合が多いので、
個人別付与をお勧めします。

その際、有給休暇付与もマネジメント力発揮の場と捉え、
以下のような取り組みをすることも効果的です。
●有給休暇取得を奨励する期間・計画付与日数のみを上司に伝え、
割振りは自分たちで考えさせる
●有給休暇の主目的であるリフレッシュの達成度を
チームごとに競ってもらう
●有給休暇取得率を上司・チーム評価の指標の一つにする
従業員の好きなように有給休暇を取得させながら
業績を上げている企業もあります。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.57 有給休暇の取得率を上げる方法 [2012.07.17]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日は、3連休明けの火曜日です。
月曜日は「海の日」(ハッピーマンデー)でした。
この火曜日を、「有給休暇推奨日」としている会社がありました。
社員にできるだけ、
有給休暇を消化してもらおうというものです。

この会社では他にも、
いわゆる「飛び石連休」となっている間の日を、
「有給休暇推奨日」としています。
この方法は、強制力もありません。
しかし、職場の状況にもよりますが、
一斉に休んだ方が、効率が良い場合が考えられますし、
社員の士気を高める効果も考えられます。

会社としては、有給休暇の取得率を上げる方法となります。
事業主様にとっては、有給休暇は頭の痛いものかもしれませんが、
従業員にリフレッシュしてまた仕事に励んでもらうためにも、
また退職時にトラブルを少なくするためにも、
できるだけ、スムーズに多く、消化していってもらいたいものです。

有効な方法に、
有給休暇の「計画的付与」という方法があります。

有給休暇のうち5日を除いた残りの日数を、
計画的付与の対象にすることができます。
(従業員が病気その他の個人的事由による取得ができるよう
指定した時季に与えられる日数を留保しておく必要があるためです。)

年次有給休暇の計画的付与制度は、
(1)企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方法、
(2)班・グループ別の交替制付与方法、
(3)年次有給休暇付与計画表による個人別付与方法
などさまざまな方法で活用されています。

導入に当たっては、
このような方法のなかから
企業、事業場の実態に応じた方法を選択することになります。

計画的付与の制度は、
・夏季、年末年始に有給休暇を計画的に組み合わせ「大型連休」とする
・日曜日と祝日の間を「ブリッジホリデー」とする
・「アニバーサリー(メモリアル)休暇」制度を設ける
などの方法があります。

最初にお話しした、
「有給休暇推奨日」はそのまま使うこともできますね。

年次有給休暇の計画的付与制度の導入には、
就業規則による規定と労使協定の締結が必要になります。
(1)就業規則による規定

年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合には、
まず、就業規則に
「5日を超えて付与した年次有給休暇については、
従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結したときは、
その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする」
などのように定めることが必要です。

(2)労使協定の締結

実際に計画的付与を行う場合には、就業規則の定めるところにより、
従業員の過半数で組織する労働組合
または労働者の過半数を代表する者との間で、
書面による協定を締結する必要があります。
(この労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。)
労使協定で定める項目は次のとおりです。

a. 計画的付与の対象者(あるいは対象から除く者)
b. 対象となる年次有給休暇の日数
c. 計画的付与の具体的な方法
d. 対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
e. 計画的付与日の変更
このような方法を上手に活用していってください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.56 社会保険調査で何を聞かれるか? [2012.07.13]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
社会保険加入の事業者様は、
「算定基礎届」の提出が終わられたところかと思います。

この「算定基礎届」の提出に合わせて、
年金事務所にて確認を行う旨の通知が来ている事業所様も多く、
提出締切日を過ぎた時期に指定されているようです。

本日は、それに合わせ、少し広く、
社会保険調査の目的や調査項目などについてお話します。

★調査の目的

社会保険調査は、主に
①社会保険の加入義務があるのに未加入の企業に対する加入促進
②社会保険には加入しているが正しく届け出されているかの確認
を目的として行われます。

算定基礎届の提出時に求められる確認は、
社会保険に加入している事業所様ですので、
②の目的を見るよい機会として使用しているといえます。

2009年の社会保険庁解体や一連の年金記録問題の影響で、
しばらくこの調査は目立っていませんでしたが、
最近では社会保険適用の厳格化が進んでいます。

★社会保険(健康保険・厚生年金)に
加入しなければならない企業(事業)
社会保険に加入する義務のある民間企業は、以下です。

●個人事業で従業員5人以上の事業
●法人企業(従業員数は問わない)
なお、個人事業のうち、
第1次産業・接客娯楽業・法務業・宗教業などは、
従業員数にかかわらず加入する必要がありません。
個人事業の、従業員5人以上で強制適用になる16業種は
ひばりコラムNo.7欄外で確認
No.7 社会保険の加入②社会保険
特に最近では、
法人でありながら社会保険に加入していない企業に対して、
民間の機関に委託して積極的に調査を進める場合もあるようです。
また、社会保険調査に対して、
「引き続き加入をしない」という解決策は原則としてありません。
不景気により加入できない場合でも、
真摯な態度で調査に応じましょう。

★加入企業に対する調査項目

すでに社会保険に加入している企業に対しては、
以下の2項目を中心に調査されます。
【1.加入義務があるのに未加入の従業員はいないか】

社会保険に加入させなくてもよい従業員は、主に以下です。
①正社員と比べて3/4未満の勤務実態である
②2か月以内の期間社員・日雇い・季節労働者である
③後期高齢者医療制度の被保険者である
特に①の調査が最も重要で、
「労働時間」か「労働日数」が
正社員と比べて3/4未満でなければ、
社会保険に加入しなければなりません。
《社会保険未加入である労働条件》

・正社員が週40時間労働であれば、
40時間×3÷4=30時間未満

以下同様に、
・月22日出勤・・・・・・22日×3÷4=16.5未満
・週5日出勤・・・・・・5日×3÷4=3.75日未満
・月173時間労働・・・・・・173時間×3÷4≒130時間未満
【2. 標準報酬月額が実態に合っているか】

実態の賃金とかけ離れた標準報酬月額を届け出ていないか
を確認されます。
例えば、給与水準が25万円なのにもかかわらず
標準報酬月額を20万円で届け出ていた場合、
修正を指摘される可能性があります。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.55 時間外及び休日の労働について 36協定② [2012.07.12]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

前回に続いて、「36協定」についてお伝えします。
36協定の労働時間の限度については、
厚生労働省によって以下の基準が設けられています。
【基準】

<原則>

1週間:15時間
4週間:43時間
1か月間:45時間
3か月間:120時間
1年間:360時間
<1年単位の変形労働時間制を採用する場合>

1週間:14時間
4週間:40時間
1か月間:42時間
3か月間:110時間
1年間:320時間
(変形労働時間制については、別途お伝えいたします。)
36協定を締結する時は、
基本的にこの限度基準を守らなくてはいけません。
ただし、1か月45時間ですと
【1日あたり2時間程度】
の残業しか認められない計算になるため、
繁忙期には限度を超えてしまいがちです。

限度基準を超えてしまう場合には、その旨をきちんと届け出ましょう。
届け出ることで、免罰効果が得られます。
それが「特別条項付の36協定」です。
【特別条項付の36協定とは】

特別条項とは、簡単に言えば以下のようなことです。
「基本的には厚生労働省の定める限度基準を守るけれど、
あまりに忙しい
◯◯のようなことがある時は、
△△時間を限度としてさらに残業させることがあります」
なお、この内容については、
経営者と労働者できちんと話し合う必要があります。

このように付記すると、
36協定の限度時間枠を広げることができるのです。
【特別条項さえあれば、いくらでも限度枠を広げることができるか】

特別条項で限度時間を広げたとしても、
それはあくまで一時的なことです。
「今後もずっと限度時間を超えてもいい」
というわけではありませんので、注意が必要です。

超過には、
1年間で半分までという回数制限が設けられています。

例)1か月ごとに限度超過をする場合は、6か月まで
また、健康配慮の観点から、
月80時間を超える残業見込みは
労働安全衛生法において、
行政指導の対象となる可能性があります。

36協定は、
事業所ごとの特性に合わせて慎重に検討をしてください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.54 時間外及び休日の労働について 36協定① [2012.07.10]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

前回は、「労働時間」「休憩」「休日」についてお伝えしましたが、
本日はそれを踏まえて、
「時間外及び休日の労働」についてお伝えします。
(災害時等の扱い(第33条)については別途お話いたします。)
「36協定」という言葉をよく聞かれると思います。
36協定という名称は通称であり、
正式には「時間外労働・休日労働に関する協定届」と言います。

前述の法定労働時間を超えて労働をさせることがある場合、
また休日労働をさせる場合、
その詳細をあらかじめ労働基準監督署に届け出なければならない旨が
「労働基準法第36条」に定められているため、
このように呼ばれます。
【36協定の要件と効果】
36協定では、以下の事項を定める必要があります。

(1)時間外(休日)労働をさせる必要のある具体的事由
(2)時間外(休日)労働をさせる必要のある業務の種類
(3)時間外(休日)労働をさせる必要のある労働者数(満18歳以上の者)
(4)時間外労働の上限
(a)1日あたり
(b)1日~3ヶ月あたり(起算日も必要)
(c)1年間あたり(起算日も必要)
(5)協定の有効期間

また、その他にも以下のような記載事項が必要になります。

●事業の種類
●事業の名称
●事業の所在地
●協定の当事者である労働組合の名称または労働者の職名・氏名
●協定の当事者の選出方法
●使用者の職名・氏名(記名押印もしくは直筆署名)
●協定の成立年月日

36協定は
「法定労働時間を超える残業をしても『罰せられない』」
という免罰効果があります。

別の言い方をすれば、
「36協定を届け出していない場合は
(たとえ適法に残業代を支払っていたとしても)罰せられる」
ということになります。

次回も続けて、36協定についてお伝えします。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

(時間外及び休日の労働)
第三十六条
使用者は、当該事業場に、
労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、
労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては
労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、
これを行政官庁に届け出た場合においては、
第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間
(以下この条において「労働時間」という。)
又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)
に関する規定にかかわらず、
その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、
又は休日に労働させることができる。
(以下省略)
(第四十条は「労働時間及び休憩の特例」についての条文です。)

No.53 労働時間・休憩・休日について [2012.07.09]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

本日は、「労働時間」「休憩」「休日」についてお伝えします。
労働基準法第32条は、
「労働時間」について書かれています。
32条は、いろいろな方法に触れていますが、
まずは原則からです。
(労働時間)
第三十二条  使用者は、労働者に、
休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
○2  使用者は、一週間の各日については、労働者に、
休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

※業種等により例外があります。
ここで定められている原則の労働時間を「法定労働時間」といいます。

「休憩」について「第34条」になります。

(休憩)
第三十四条  使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては
少くとも四十五分、
八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を
労働時間の途中に与えなければならない。

※※例外、交替で与える方法などが別途あります。
別の機会にお伝えします。
一日の労働時間が8時間までの場合、
休憩時間は45分でも大丈夫ということになります。
しかし、業務の状態などを考え、
60分にしているところが多いようです。

続いて「休日」については「第35条」です。

(休日)
第三十五条  使用者は、労働者に対して、
毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
○2  前項の規定は、
四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
こちらは、「法定休日」といいます。
あら?
週に1回休みを与えればよい、といいながら、
週に40時間しか働かせてはいけないんですね。

通常、週に40時間以内を達成するために、
週休2日制を取っているところが多いでしょうか。
ただし、労働基準法で週休2日制が定められているわけではありません。
例えば、月曜日~金曜日を各日7時間、土曜日を5時間、
というような設定も可能です。

※労働時間の例外について
次の業種のうち、社員数が【9人以下】の場合、
特別に【1週間で44時間】まで勤務させることができます。

(1)小売・卸売・理美容などの商業
(2)映画館・演劇業など
(3)病院などの保健衛生業
(4)旅館、飲食店などの接客娯楽業

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.52 労働契約の期間 [2012.07.06]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

本日は、「労働契約の期間」について考えます。

労働基準法の第14条は、
「契約の期間」について書かれています。
(契約期間等)
第十四条  労働契約は、期間の定めのないものを除き、
一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、
三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)
を超える期間について締結してはならない。
従業員を雇うときは、契約の期間を決めなければなりません。
期間の決め方は、まず2種類あることはご存知ですね。

①期間の定めのない契約
②期間の定めのある契約
一般的に、「正社員」と言われる従業員さんとは、
期間の定めのない契約を交わすことが多いでしょう。
「期間の定めのない契約」というのは、
ずっと拘束されるという意味ではなく、
「いつでも解約を申し出ることができる」という性質のものです。
「期間の定め」は、長い方がいいというわけではなく、
その間は契約を守らなければならない、ということですので、
長期間(1年を超えるような)契約は、リスクがあると言えます。

つまり、例えば「3年」と決めたら、
3年間は懲戒解雇に該当するようなことがない限り
解雇できないと考えられます。
期間の途中で解雇すると契約違反になります。

(従業員の側からは、暫定措置として、
労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、
使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます。
(労働基準法第137条))
「長く働いてもらいたい」と思う従業員さんとは、
「期間の定めのない契約」を結びましょう。
よほどの事情がなければ、長期間の契約はおすすめしません。
特に、パートタイマーなどは、
「期間の定めのない契約」も可能ではありますが、
(特に雇用契約書等を交わしてなければ、「定めなし」と考えられます。)
契約期間を定めておくことが有効と言えます(6か月、1年など)。

契約、更新の仕方を決めておくことによって
状況によって更新しない(雇止め)ことが可能になります。
ただし、漫然と更新を繰り返したり、
ずっと雇い続けるようなことを言うと、トラブルの元になります。
「期間の定めのない契約」と同じとみなされてしまうこともあります。
なお、5年の労働契約が認められるものについては、
続けて、以下のように定められています。

一  専門的な知識、技術又は経験
(以下この号において「専門的知識等」という。)
であつて高度のものとして
厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等
を有する労働者
(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)
との間に締結される労働契約
二  満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約
(前号に掲げる労働契約を除く。)

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。