No.12 36協定の作り方のポイント [2012.05.22]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

 

「時間外労働・休日労働にかかる協定書」、
いわゆる「36協定」について簡単にご説明しました。

今日は、この「36協定」の具体的な内容についてご説明します。
(労働基準法第36条に定められているため、よく「36協定」と呼んでいます。)

 

★36協定届とは、
法定の労働時間を上回る労働、あるいは休日労働をさせる企業において、
「どんな状況下でどのくらいの残業等があるか」を労使間で取り決め、
協定という形式で締結した書面のことを指します。

 

この協定を行政官庁に届け出していない場合、
労働基準法違反を指摘されることになります。

時間外労働がまったく起こりえない職場の方が例外的であるため、
ほぼすべての企業・業種において、
36協定の締結届出は必要であると言えます。

 

36協定には、以下4つの要素を盛り込む必要があります。

1.時間外又は休日労働をさせる必要のある具体的事由
「決算期の事務処理繁忙のため」「注文が集中し作業が遅延したため」
などと記載。
2.業務の種類・人数
「営業」や「事務」など、職種ごとに労働者数を記載。
3. 時間外労働の限度時間、および労働させることのできる休日
4.労使協定の締結日・有効期限

 

★時間外労働の延長の限度基準

36協定を締結すれば無制限に残業を命じることができるのではなく、
一定の限度基準が設けられています。

 

一般的な場合     1年単位の変形労働時間制
1週間: 15時間    1週間: 14時間
1か月: 45時間    1か月: 42時間
1年 :360時間      1年 :320時間

 

★特別条項付き36協定とは

上記表によると、1か月の残業限度時間は45時間、
1日換算でおよそ2時間程度です。

 

しかし実際には、
日本の労働環境において2時間を超える残業は発生しやすいため、
「例外として限度時間を超えてしまう場合もありますよ」と、
協定に追記することができます。
この追記がなされた36協定を「特別条項付き36協定」と言います。

 

それでは結局、残業時間の上限はないのか、というと、
もちろんそのような事はありません。

 

平成22年に、一定規模以上の企業において、
月あたり45時間以上の時間外労働については割増率を上げる努力義務、
月あたり60時間以上については割増率を50%以上とする旨の
法律改正がありました。

また、労働安全衛生法上も、
月あたり80時間を超える時間外労働をさせた場合、
医師による面接指導等が必要になる場合があります。

前者は事業所規模によりますが、
後者は、中小零細事業所も、対策をしておく必要があります。

 

割増賃金を支払うという費用の面からも、
労働者の健康や環境の面からも、
時間外労働そのものを削減する、努力、工夫が求められています。

 

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。