No.28 社会保険料決定・変更のしくみ②≪「定時」「随時」どちらに該当?≫ [2012.06.07]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
昨日、
社会保険料の決定・変更のしくみについての概要をお伝えしましたが、
算定基礎届(定時決定)の時期ですので、関連して、
1点、補足させていただきたいと思います。
「算定基礎届」と「月額変更届」の、
どちらに該当するのかを考える必要がある場合です。
1年に1回、被保険者の標準報酬月額の見直しを図るのが、
「社会保険料算定基礎届」の提出によるもの(定時決定)です。

これは、4・5・6月の給料の平均額を使用します。
この改定は、毎年9月分の保険料から反映されます。
(ほとんどの事業所様で、
10月分の給料から天引きし、10月末に納付する分です。)

これに対し、給与に大きな変動があった場合、
(昇給などにより急激に給与が変わってしまった場合、)
例外的に年の途中でも変更します。

これを「報酬月額変更」といい(「月額変更届」を提出します)、
昇給月から4か月目に変わります。
大きな変動とは、社会保険等級上2等級以上の変動を指します。

ところで、4月から給料が変更になる企業様・事業所様も多いと思います。
大きな変動があった場合、
「算定基礎(定時決定)」があるからそちらを提出すれば大丈夫、
とはいかないので、注意をしてください。
つまり、
4月に昇給して、
大きな変動(2等級以上)があった場合は、
4・5・6月の給料をもとに、
7月の社会保険料(通常8月の給料から控除する)から変更となります。
算定基礎による変更が反映されるのは9月保険料からなので、
そちらよりも早く変更となるのです。

例を出してみましょう。
①3月までの給料が30万円で、「標準報酬月額」も30万円の方が、
4月からの給料が32万円になった場合

4・5・6月の給料32万円×3=96万円
→平均32万円→標準報酬月額32万円
☆変動は1等級なので、「算定基礎届」の提出により、9月保険料より変更
②3月までの給料が30万円で、「標準報酬月額」も30万円の方が、
4月からの給料が35万円になった場合

4・5・6月の給料35万円×3=105万円
→平均35万円→標準報酬月額36万円
★変動は3等級なので、「月額変更届」を提出、7月保険料より変更
なお、大きな変動といっても、
「基本給」などの「固定給」の変更が条件となり、
固定給はそのままで、残業手当などが増えた、というような場合は、
「月額変更」(随時決定)には該当しません。
「固定給」が増えても、残業手当などの状況により、
平均額が減る場合もあります。
そのような場合には、
ずっと同じ標準報酬というわけにはいかず、
「定時決定」によって、少なくとも1年に1回は見直しを図るのです。
昇給月は4月に限りませんし、いろいろなパターンがあります。
あるいは降給となる場合もあります。
詳しくは当オフィスまでお気軽にお尋ねください。
本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。