No.33 有給休暇は何のためにあるか【実例】 [2012.06.12]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
【実例】(設定は、実際とは少し変えています。)
T氏は、R社の営業部長です。
営業部は、総勢20名、
出張も多く、なかなかのハードワークです。
勤務状況は、いたって真面目、
めったに休むこともなく、部下からの信頼も厚いですね。
有給休暇は、
風邪をひいてしまったときに何度か取得したことがあるぐらいです。
Bさんは、途中入社でR社にやってきた、
経験もある若手のホープ、
すぐにそれなりの営業成績をおさめ、今に至っています。

Bさんの趣味はアウトドア、とくに登山が好きとのこと。
連続の休みがある時は、よく出掛けているようです。

ある日、Bさん、
部長のT氏に、有給休暇の申請をしました。
土日を使い、その前の日である金曜日にも休暇をもらって、
ちょっと遠くの山に登るというのです。
月曜日からは通常の業務があります。
T氏は、驚くと同時にちょっとムカつきました。
今までに、「遊び」で堂々と有休の申請をしてきた社員はいませんでした。

「登山」に行って普通は疲れると思うけれど、
月曜日に仕事に支障はないのか?
そもそも「遊び」のために有休を取るなんてもってのほか!

有休なんて、自分は病気のときぐらいしか取ったことがないし、
有休ってそういうものなんじゃないのか?
病気のときのためにあるんじゃないのか?

ほんとに認めなければならないのか???

有給休暇は、労働基準法第39条に定められている、
「労働者の権利」です。

確かに今までR社では、
「遊び」のために有給休暇を取るという文化はありませんでした。
しかし、有給休暇は、
「労働者の心身をリフレッシュすることを目的とする」ものです。
決して、病気のときのためにあるわけではありません。

もちろん、病気のときにも使えるようになっている会社が多いでしょう。
しかし、有休は通常、前もって時季を指定する必要がありますから、
病気のときに(事後に)使えるように、「会社が」決めているわけです。
一生懸命働いたご褒美に、
心身をリフレッシュするためにあるのが本来の有給休暇なので、
Bさんのように、趣味のために有給休暇を使っても構いませんし、
そもそも、理由によって拒否されるということもありません。
(時季変更権行使などもあり、理由を聞くことは法律での制限はないようです)

ただ、有給休暇を取得する社員の方でも、
業務の繁忙を見極め、お互いに協力し合うことが大事です。
もちろん、休む前、休んだ後は、
しっかり仕事をすることはいうまでもありません。

部長さんが、そんな職場の雰囲気作りも、していってほしいですね。
そんなことで休むなんて、と思う気持ちもよくわかりますが・・・

重要なことがもうひとつ。
会社としては、ある程度、有給休暇を随時、消化してもらった方が、
予想外の出費を防ぐことにもつながったりするのです。
さて、Bさんは、無事に有給休暇も加えて、
山に登って「リフレッシュ」して帰ってきました。
Bさんにとっては、体力は使っても、
仕事と全く別のことをすることによって「リフレッシュ」できるのでしょう。

体力に自信がなければ、
それに合わせて休暇の計画も立てなくてはいけませんよね。
休暇についても、またいろいろお話していきます。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。