No.43 就業規則の制裁規定の制限について [2012.06.22]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日も、もう少し引き続き、
就業規則についての労働基準法に定められているところを見ていきます。
労働基準法第91条には、就業規則の制裁規定の制限が定められています。

就業規則で、
労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、
その減給は、
一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、
総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはなりません。

これは、働いているにもかかわらず、
罰金のようなものとして、給料を払わないことで、
「減給」する場合には、上限が決められています。
事例で検討してみます。

●遅刻・早退や、欠勤などにより、賃金が控除されることは問題ありません。
ただし、遅刻や早退を、例)30分単位で計算しており、
30分に満たない遅刻を30分として控除することは、
この減給にあたることになりますので、注意が必要です。

●就業規則の定めに従い出勤停止を命じ、
その期間中の賃金を支払わないことは問題ありません。

●1日に2個の懲戒事由に該当する行為があれば、
その2個の行為について、
それぞれ平均賃金の1日分の半額ずつ減給することは問題ありません。

●「減給10%」という措置を見ることがありますが、
1回の事由に基づく減給は平均賃金の半日分ですから
この措置は違法となる可能性が高いです。
複数の懲戒理由についてそれぞれに減給額を計算し、
それを合算したものを、
毎月1割以内ずつ差し引いていくことは可能です。

●減給の制裁が1賃金支払期における賃金総額の
10分の1を超えて行う必要が生じた場合、
その減給は、次期の賃金支払期に延ばすことも可能です。
なお、何らかの理由があって、減給という措置を取るわけですが、
減給することを就業規則で規定しておくことが必要です。
減給だけでなく、「懲戒」という項目を作成し、
どのような場合にどのような懲戒処分を行うか、
予め従業員に知らせておきましょう。

すでに就業規則を定めている場合は、
懲戒の項目をチェックしてみてください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。
★なお、「ひばり人事労務コラム」は、
当面、土・日・祝日の掲載をお休みすることにいたしました。