No.113 企業の安全配慮義務(労働契約法)について [2013.09.09]

こんにちは。
東京港区の社会保険労務士、下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。
本日は、安全配慮義務についてお伝えします。

このところ、労働の管理に関係する話題が多くありましたので、
関連して、企業の「安全配慮義務」についてお伝えします。

労働契約法では、
「使用者は、労働契約により、
労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ
労働することが出来るよう、
必要な配慮をするものとする。」
と規定しています。
(労働契約法第5条)
労働契約の内容として具体的に定めなくても、
当然に使用者は、
労働者を危険から保護するよう配慮すべき
安全配慮義務を負っているとされます。
従業員が安全で健康に働くことができる環境を確保できるように
配慮しなければならないという会社の義務です。
危険な作業で怪我をしないように気を付けることはもちろん、
怪我以外でも、
長期間の残業や過度のストレスがかかるような状況がある場合には、
会社はその状況を改善するように配慮しなければなりません。
もし、安全配慮をすべき状況であるとわかっていながら
会社が何も対策をせずに放置して、
従業員が倒れてしまうようなことになってしまえば、
会社は「安全配慮義務違反」として
従業員やその家族から訴えられて、
多額の損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。
安全配慮義務違反は、
労働者側からの訴えの一つの拠り所となるものです。

安全配慮で特に注意すべき事としては、
長時間勤務や残業・休日出勤時間に特に注意すべきです。
長時間働いていたために心疾患や脳疾患を患い、
またはうつ病を発症したり、
最悪の場合、
病気による死亡や自殺に至ってしまうケースなどがあります。
従業員がストレスを溜め込んで体調を崩すのは、
その原因の全てが会社にあるとは限りませんが、
長時間労働やパワハラには注意を払わなければなりません。
特に、月80時間超える時間外労働は
「過労死」との因果関係が出てくるため注意が必要です。

行政では、過労死について仕事との関連性が高いかどうかを
一定の判断基準を設けています。
・過労死の確認基準
発症前1ヶ月から6ヶ月にわたって、
1ヶ月あたりおおむね45時間を超えた時間外労働があった場合
⇒仕事との関連性が徐々に強まる
発症前1ヶ月間におおむね、100時間の時間外労働または
発症前2ヶ月から6ヶ月にわたって、
1ヶ月あたりおおむね80時間を超えた時間外労働があった場合
⇒仕事との関連性が強い

長時間労働を抑制しつつ、
生産効率を高めるための取組に注力することは
簡単ではありませんが、
「安全配慮」の面からも「労働生産性」の面からも大切なことです。
本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。