No.78 休日と休暇の違いについて [2012.12.25]

こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。
本日は、休日と休暇の違いについて、
基本のところをお伝えします。
休日と休暇、
どちらも「働かない日」という点では共通していますが、
法律上は違いがあります。
【休日の定義】
休日とは、就業規則等においてあらかじめ
「労働義務がない日」と定められている日のことを指します。
つまり、非労働日です。
非労働日ですので、
所定労働時間(〇時間働くという時間)が決められていません。

休日については、以下のような最低ラインが定められています。
・週1日
・または4週に4日
【休暇の定義】
休暇とは、労働義務のある労働日について
「労働義務の免除」を労働者側の申し出(意思表示)等
によって得た日を指します。
この場合、
休日と違い「所定労働時間」があることが前提となります。

この休暇を労働者がとることができる法的根拠は、
法律の定めによって発生する法定休暇と、
就業規則等の定めによって発生する
その会社独自の会社休暇の2種類があります。

——————————————————————
①法定休暇(法律で与えないといけないとなっているもの)
年次有給休暇(いわゆる有休)
産前・産後休暇(いわゆる産休)
生理休暇
看護休暇(子どもの傷病などの世話)
——————————————————————
②会社休暇(会社独自の休暇)
慶弔休暇
病気休暇
特別休暇
リフレッシュ休暇
など
——————————————————————

法定の休暇については、
労働者の意思表示によって休暇が成立する
という厳格さがありますので、
原則として会社はその休暇取得を拒むことができません。
なお、有休については
「時季を変えてくれと言う権利≒時季変更権」があります。

一方で、会社休暇については、
会社独自のルールによって与えても差し支えありません。
例えば、繁忙を理由にリフレッシュ休暇を承認しないことがある
というルールを定めてもいいということです。

賃金については、
年次有給休暇は当然に有給となりますが、
その他は無給でもよく、
特別休暇等は、休暇自体、定めなくても構いません。
さらに、先にお伝えしたように、
休日は、週に1回、または4週に4回あればよいので、
それ以外の休みを指定する場合は
「休暇」とすることができます。

この方法と、法定労働時間を考えてしっかり組むことで、
残業代(割増賃金)の削減にもなりますので、
また日を変えてお伝えします。
本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.77 休憩時間について [2012.12.17]

こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。
本日は、休憩時間についてお伝えします。
休憩時間とは、
労働から離れることが保障されている時間をいいます。
(労働基準法第34条)
【休憩時間についてのポイント】

労働時間 6時間まで              :不要
労働時間 6時間超~8時間まで :最低45分
労働時間 8時間以上              :最低1時間

労働時間が8時間であれば、45分でよいことになっています。
しかし、残業等により8時間を超えると1時間必要になり、
休憩させてから残業することが必要になりますので、
1時間としている会社が多いですね。
また休憩時間は、分けて与えても大丈夫です。
また、労働時間中に与えることが必要ですが、
お昼休憩が12時からというのは法律には関係ないので、
工夫することもできます。
【3つの決まり】

・休憩は、労働時間の途中に与えなければならない。
・休憩は、一斉に与えなければならない。
・休憩時間は、自由に利用させなければならない。
<例外>

2.一斉付与の例外:
運輸・通信・商業・保健衛生・金融広告・接客娯楽・映画演劇・官公署は、
一斉に休憩を与えなくても良いとされています。
また、労使協定により、
一斉に与えない場合の詳細を決めておいて、
交替制などにすることもできます。

3.自由利用の例外:
警察官や消防署職員など、
または児童養護施設、知的障害児施設の職員など、
一部の職種は自由利用の例外とされています。
「休憩を自由に利用させること」についてもう少し詳しく見てみます。

【休憩の自由利用の原則とは】
休憩の自由利用の考え方は、労働基準法に
「使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない」
と規定されていることに依ります。

自由利用の原則を法律上明確にしたのは、
かつて戦時中の就業規則に、
休憩時間中、指揮者の定めるところに従い体操を行うべし
と規定するものが多かったことなどの事情があったそうです。

したがって、休憩時間中に職場体操を義務付けたり、
来客の対応のために居残り・待機を強制させることは、
自由利用の原則に違反することになります。

ただ、自由利用とはいえ拘束時間の間にありますので、
会社の秩序を乱すようなこと、
職場の安全を脅かすようなことまでを許す必要はありません。
休憩は、本来次の労働再開に備えて休息を取る目的のものですから、
そのあとの労働が出来ないような行動(飲酒等)を規制することは
むしろ当然のことでしょう。
(「ノンアルは大丈夫ではないか?」というお問合せがありました。
ノンアルコールであっても、その飲料を取る目的を考えると、
規制すべきであると言えるでしょう。)

また、労働時間中の休憩であるという性格から、
会社の状況によっては、労務管理上、
職場を離れる時には上長の承認を得ると決めることもできます。
本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

 

No.76 「定額残業代」について [2012.12.08]

こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。
本日は、残業代対策でよく使われる、
「定額残業代」についてお伝えします。
『定額残業代』とは、
基本給とは別に毎月一定の金額を残業代として支払うものです。
この制度をうまく利用できていれば、
長く働くことで給料が増えるという労使双方の弊害を防ぎ、
従業員が、労働時間を短くすることに神経を向けますので、
効率的に働くことが期待できます。

しかし、定額残業代を設定するときには注意が必要です。
「定額残業代を支払っていれば労働時間を計算する必要はない」
「定額残業代を支払っていればそれ以上に残業代を支払うことはない」
等の考え方は、間違っていることになります。
賃金(基本給や手当)に含まれる残業代を明確にし、
それが何時間分の割増賃金にあたるのかを
明示しなければなりませんし、
実際の残業が、賃金に含まれる時間を超える場合は、
その差額を支払うことも必要です。
入社した時、またそもそも創業した時の賃金設定の時、
この制度を最初から使用していれば、
さほど大きな問題は起こりません。
(もちろん、明示すること、差額が出た場合は支払うこと、
そして労働・残業時間を管理すること等が必要です。)
しかし、今まで残業代が多かったために、
それを抑制しようとして「定額残業代」を導入し、
問題が起こった例は多くあります。

定額残業代の金額が低めに設定され、
「残業代をきちんと計算してみたら不足していた」
という事がよく起こっています。
従業員にとっては、不利益変更となる場合が多いので、
きちんと説明をして、同意を得ることが必要です。

また、「残業代」の抑制という観点だけではなく、
従業員の健康のためにも、
「残業時間」そのものの削減に努める必要があります。
そのような手立ても合わせて実施するようにしましょう。
こちらもおいおいお伝えいたします。
なお、定額残業代の金額が低すぎ、
労働時間を管理していなかったために不払いが生じる、
といった問題が起こることも多いですが、
定額残業代の金額を大きくし過ぎることも問題となります。
また、関連して、定額残業代を設定するときには、
基本給が最低賃金を上回っているかもチェックが必要です。

もうひとつ、
年俸制には残業手当はいらないと思っている方も多いようですが、
そのようなことはありません。
月給を固定額とするなら、上記と同様に、
残業代の金額と何時間分含まれているかを明記することが必要です。
便利な制度だと安易に考えていると、
痛い目に合うことも多い制度です。
しかし、うまく運用できればメリット多くあります。
導入をお考えの場合はぜひ専門家にご相談され、
正しく、前向きに運用なさってください。
本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

 

No.74 <残業代>全額支払われているのは「5割」【ニュース】 [2012.11.07]

No.74 <残業代>全額支払われているのは「5割」【ニュース】   [2012.11.07]
こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。
本日は、ニュース記事よりお伝えします。

残業代についての調査結果です。

前回、厚生労働省の取組、
「労働時間適正化キャンペーン」についてお伝えしましたので、
タイムリーな調査結果です。

ただし、このニュースをそのまま受け取るだけでなく、
工夫できることが多くあると考えております。
従業員さんの健康と、「会社」を守り、
さらに発展させるため・・・
対策をぜひ、ご一緒に考えていきましょう。
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<残業代>全額支払われているのは「5割」…連合総研調査
毎日新聞 11月5日(月)
残業代を全額支払われているのは2人に1人--。
労働問題のシンクタンク、連合総研の調査で、
こんな残業事情が浮かんだ。

調査はインターネットを使い、
首都圏と関西圏の
20~64歳の民間企業労働者2000人から回答を得た。

残業手当が出る人で
手当全額が支払われているのは46.9%。
前年同時期の調査から8.9ポイント低下した。

支払われる額の4~6割が不払いは5.5%▽
2~4割が5.3%などで、
残業代が全く支払われていない人も6.3%いた。

支払われているかどうか不明と答えた人も29%で、
賃金がブラックボックス化している側面ものぞかせた。
また、残業時間を申告していない不払い残業がある
とした人は35.3%で、
1カ月の平均時間は21.3時間になった。

申告しなかった理由は、
働いた時間通り申告しづらい雰囲気(36.3%)
▽残業代に限度がある(24.2%)--などが挙がっていた。

連合総研は
「残業代の不払いは違法行為だということを
労使ともに認識することが重要だ」
と話している。
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就業規則等の規定でできることや、
業務効率化への取組、等により、
労働時間の削減と残業代の削減をご提案いたします。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.73 「労働時間適正化キャンペーン」実施《厚生労働省》 [2012.11.01]

No.73 「労働時間適正化キャンペーン」実施《厚生労働省》   [2012.11.01]
こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。

本日は、「労働時間適正化キャンペーン」についてお伝えします。
2011年の統計によると、
1週間の労働時間が60時間以上の労働者の割合は
9.4%となっています(総務省「労働力調査」)。
特に、30代男性では18.4%と高い水準にあります。
厚生労働省では、
長時間労働や、これに伴う問題の解消を図るため、
毎年11月は「労働時間適正化キャンペーン」期間とし、
長時間労働対策に取り組んでいます。
このキャンペーンで重点的に促される事項は次のとおりです。

①時間外労働協定の適正化等による時間外・休日労働の削減

・時間外労働協定(36協定)は、
時間外労働の延長の限度等に関する基準に適合したものとすること
・特別条項付き36協定等により、
月45時間を超える時間外労働を行わせることが可能な場合でも、
実際の時間外労働については月45時間以下とするよう努めること など

②長時間労働者への医師による面接指導など
健康管理に関する措置の徹底

・産業医の選任や衛生委員会の設置など健康管理に関する体制を整備し、
また、健康診断等を確実に実施すること
・長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対し、
医師による面接指導等を実施すること など

③労働時間の適正な把握の徹底

・賃金不払残業を起こさないように、労働時間適正把握基準を遵守することなど

そんな長時間労働など、うちの会社ではしていないから関係ない、
と思われる社長様もいらっしゃると思いますが、

時間外労働のとらえ方は正しいでしょうか?
計算の仕方は正しいでしょうか?
時間外労働の管理を、従業員さん任せにしていないでしょうか?
労働時間の管理は、業務の生産性に密接に関係しますし、
従業員の適切な健康管理も重要です。
また、
メンタルヘルス不調となる従業員には、長時間労働が大いに関係します。

従業員の健康を守り、
業務効率化によって生産性を向上し、
そして・・・残業代の削減にもつながります。

この機会にぜひ、業務の棚卸を行い、
無駄な残業時間はないか、チェックしてみてください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.72 退職後の傷病手当金・出産手当金 [2012.10.26]

こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。

本日は、健康保険制度の「傷病手当金」「出産手当金」について、
受給の途中で退職した場合、
それ以降の給付はどうなるのか、お伝えいたします。

特に、出産手当金は、時世に合わせて変わっていますので、
何年も前に、制度をちょっと聞いた・・・
という方はご注意くださいね。

【資格喪失後の傷病手当金】

被保険者資格があるとき(在職時)にもらっていた傷病手当金は、
その傷病で働けない状態である限り、退職後も受けられます。

——————————————-
[注意点]

1.資格を喪失する日の前日までに
継続して 1年以上被保険者であった人に限る

2.在職時に実際に傷病手当金を受給していること※

※傷病手当金にかかる「待期期間」を満了していない場合や、
待期期間は満了しているが傷病手当金を受給していない場合などは、
この「受給している」にあたりません。

例:私傷病により9月1日から休み始め、9月3日に退職した場合
待期期間の3日目で退職しており、実際の給付を受けないために、
資格喪失後の傷病手当金はもらえません。

3.資格喪失後の傷病手当金の支給は、
「当初在職時にもらい始めた日から数えて」1年半まで
——————————————-

傷病手当金を退職後も受給するつもりならば、
少なくとも、在職中に実際に傷病手当金を受給する必要がある
ことに注意してください。

【資格喪失後の出産手当金】

資格を喪失する日の前日までに
継続して1年以上被保険者であった人は、
資格を喪失した際に現に受けていた出産手当金を
引き続き受けることができます。

こちらも「現に受給していること」が条件となります。
【その他の資格喪失後給付】

資格を喪失する日の前日までに
継続して1年以上被保険者であった人が
資格喪失の日後、6か月以内に出産をしたときは、
被保険者として受けられる出産育児一時金が支給されます。
本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

 

No.70 健康保険の傷病手当金について [2012.10.11]

こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。

健康保険の傷病手当金は、
サラリーマンにとってのメリットとして、
筆頭ともいえる制度です。
これから社会保険の加入を考えている社長様、
従業員から天引きについて不満を言われている社長様・・・
ぜひご参考としていただければ幸いです。

労災でない私生活上の病気や怪我により会社を休んだ場合、
健康保険から「傷病手当金」が支給されます。
【傷病手当金の条件】

傷病手当金は、
被保険者(健康保険の加入者)が、
以下すべての条件に当てはまった際に支給されます。

① 病気やけがのために働くことができない
② 会社を休んだ日が、連続して3日間ある(いわゆる待機期間)
③ 4日目以降も休み
ただし、休んだ期間について
事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、
傷病手当金は支給されません。
【いくら支給されるか】

支給額は、病気やけがで休んだ期間、1日につき、

「標準報酬日額の2/3に相当する額」

です。

なお、働くことができない期間について、
下記、ア、イ、ウに該当する場合は、
傷病手当金の支給額が調整されることとなります。

ア.事業主から報酬の支給を受けた場合

イ.同一の傷病により障害厚生年金を受けている場合
(同一の傷病による国民年金の障害基礎年金を受けるときは、その合算額)

ウ.退職後、
老齢厚生年金・老齢基礎年金・退職共済年金などを受けている場合
(複数の老齢給付を受けるときは、その合算額)
ア~ウの支給日額が、傷病手当金の日額より多いときは、
傷病手当金の支給はありません
ア~ウの支給日額が、傷病手当金の日額より少ないときは、
その差額を支給することとなります。
【支給の例】

標準報酬月額20万円、
9月1日~9月3日有休消化、
9月4日~9月30日無給で休んだ場合

20万円÷30×2/3×27日分=119,880円

上の例で、待機期間の3日は有給・無給を問いませんので、
有休消化した場合も「待機」として扱われます。
ただし、連続して3日の待機期間が必要ですので、
飛び飛びに休んだ場合は「待機」として扱われません。
【その他注意事項】

1.医師の証明について

傷病手当金の支給申請には、以下2点が必要です。
① 医師が労務不能と証明すること
② 会社が給与支払なしと証明すること

①をもらうには、証明書発行の手数料がかかります。
傷病による休業期間があまりに短い場合
(例えば給付対象が1日しかない場合など)、
その証明書発行手数料を差し引くと
実質的支給額が少なくなることがあります。
2.申請のタイミングについて

また、傷病手当金は、前述②のように
「会社が給与を支払っていない証明」が必要なため、
給与締日の途中までの医師証明を取っても、
その月分の給与締日が来て、
給与支払額が確定しなければ申請できません。
できれば、会社の給与締日に合わせて
医師の証明を取ることをお勧めします。
本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.69 問題社員の解雇について② [2012.10.09]

こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。

前回に続き、解雇についてお伝えします。
問題社員の解雇、
特に能力不足の社員を解雇する場合には、

「問題点の改善のための教育・研修をしているかどうか」

が重要になります。

また、
「問題社員の「問題」を客観的に証明できるか」
も重要です。

以下、問題社員の解雇事案の際に
裁判所が重視する点について説明します。
<問題の程度>
【1.勤務態度不良の程度】

お客様からのクレーム事実が、
「日付」「状況」「クレーム内容」など
詳細に記録されているでしょうか。
たとえばクレームがあった場合には、
「クレーム報告書」などの所内書式に基づいて
本人から報告をさせることでそのクレーム事実を証明しやすくなります。
【2.問題発生の回数】

何回も同様の種類のトラブルを繰り返していることは
解雇しやすい方向の要素になります。
「何回も指導したのだけど改まらなかった」
という状態であることです。
【3.問題点、問題行動について会社の指導があったのか】

解雇する前に十分な注意、指導、教育を行っているかが大事です。
長期間複数回にわたってきっちりとした注意指導をするほど
解雇しやすい方向になります。

※指導の事実は「指導書」などの書面化するほか、
口頭や電話、メールなどでの指導も
「〇月〇日に〇〇という事案について
△△という方法でこのように指導し、
改善の意思を確認した」
などの記録しておくべきでしょう。
【4.改善指導について、本人の態度はどうだったか】
改善指導、いわゆるイエローカードに対して
本人がどのようにリアクションしたかも重要です。
【5.他の社員との公平性はあるか】
同じような問題行動・ミスをした他の社員は
どんな処分を受けていたかも重要です。
そこに不公平がある場合は解雇しにくくなります。
以上のことから、
「教育指導をしつつ、その指導事実を記録しておくこと」
が、解雇の有効性を考える上で重要になるでしょう。
本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.68 問題社員の解雇について① [2012.10.05]

こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。

本日は、解雇についてお伝えします。
社長様からは特に質問の多いトピックですので
ぜひご参考にしてください。
問題社員の解雇については、
ご存知のようにかなり高いハードルがあると言えます。

日本では、終身雇用制度を前提とした労働理論が発展しており、
社員を一人前に育てて、その能力を高めるのは
採用した会社の責任であるという考え方がベースになっています。

つまり、問題社員(特にその能力不足による)の解雇については、
「会社側がその問題点を注意・指導する段階があるかないか」
が重要になってきます。

以下、問題社員の解雇事案について裁判所で重視される要素を示します。
【1.解雇する前に、配置転換や職種の変更などで様子をみたか?】
他の上司のもとで異なる職務をさせると、
能力を発揮しだすこともある。
そのチャンスを与えているのかを見られます。
環境か仕事内容を変えてみたか、ということです。

【2.会社側に落ち度はないか?】
問題社員の問題について、
会社の制度や体制に落ち度がないかを見られます。
会社にも原因がある場合、
一方的な解雇は不公平とされる可能性があります。
例)教育や研修が不十分である、
上司の指示が不明確・不適切である

【3.即戦力として中途採用された者か、新卒か?】
新卒であれば、とくに会社の教育責任の度合いは強いでしょう。
単に期待された能力がないことだけで解雇をすることは
難しくなります。
一方、即戦力として中途採用された者について、
その採用面接で「即戦力として求めている能力」をはっきりとさせ、
かつ、それが一定の常識的な条件下で出来ないときには
解雇等もあり得ると伝えている場合は、
解雇の有効性が高くなるでしょう。

【4.勤続年数はどのくらいか?】
勤続年数が長ければ、
基本的な能力には問題がないはずだという推定が働きます。
つまり、
「基本的な能力が足りないならば
もっと早い段階で処分や再教育があったはず」
という考えが出てきます。
これらを考えると、
経営者は雇入れの段階から
「教育コストはかかるもの」という認識でいたほうがよいでしょう。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.66 厚年基金制度廃止へ【ニュース】 [2012.09.28]

こんにちは。下中です。
本日も「ひばり人事労務コラム」
おいでいただきありがとうございます。

本日は、ニュース記事をお届けします。
厚生年金基金制度の問題が起こっておりますが、
廃止へ向けての動きが出ています。
まだまだ見守る段階ですが、注視していきたいと思います。

なお、記事中にも出ている「確定拠出年金」ですが、
当オフィスでもコンサルティングを行っています。
(年金基金からの移行は関係なく)
中小企業でも大変有効な方法です。
(メリット:将来への備え-福利厚生&社会保険料の削減など)
ご興味のあるかたはどうぞお問合せくださいね。

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厚年基金制度廃止へ=来年の通常国会で法改正
―AIJ問題受け・厚労省
時事通信 9月28日(金)
厚生労働省は27日、
AIJ投資顧問(東京)による年金消失問題を受け、
企業年金の一つである厚生年金基金制度を廃止する方針を固めた。

厚労省が28日に開く厚年基金の特別対策本部会合で、
本部長の辻泰弘副大臣が、
将来的に廃止する方向で制度改革を進めるよう指示する見通しだ。
年内に改革案をまとめ、
来年の通常国会に厚生年金保険法の改正案を提出することを目指す。

廃止の時期は、
積み立て不足の問題の解決や
他の企業年金制度への移行準備などが必要なため、
10年程度、先になるとみられる。
同省は、加入者自らが運用を行う
「確定拠出年金」などへの移行を促す方針。

ただ、巨額の積み立て不足を抱える財政難の厚年基金の中には、
解散を余儀なくされるところも出てきそうだ。

改革案には、財政難の基金への対策として、
基金の解散時に
国に返還しなければならない積立金の減額を盛り込む見通し。
複数の企業が加入する基金について、
解散時の国への積立金返還に関し
連帯責任を負う仕組みもなくす方向だ。

厚年基金制度は、企業年金だけでなく、
公的年金である厚生年金の一部も国に代わって運用するのが特徴。
高金利や株高の時代は収益を伸ばしたが、
超低金利や株価低迷の長期化で財政が悪化する基金が相次いだ。

同省によると、約570ある厚年基金の半数で、
企業年金部分の積立金が底を突くとともに、
代行部分も積み立て不足となる「代行割れ」に陥っている。
運用環境の改善が見込めない中、
投資の失敗などによる「さらなる財政悪化を防ぐ」(幹部)ため、
制度廃止はやむを得ないと判断した。

厚年基金制度の存廃をめぐっては、
民主党が「将来的な廃止」を掲げる一方、
自民党は存続容認の立場だ。
存続を求める厚年基金や自民党の反発は必至だ。
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本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。