No.54 時間外及び休日の労働について 36協定① [2012.07.10]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

前回は、「労働時間」「休憩」「休日」についてお伝えしましたが、
本日はそれを踏まえて、
「時間外及び休日の労働」についてお伝えします。
(災害時等の扱い(第33条)については別途お話いたします。)
「36協定」という言葉をよく聞かれると思います。
36協定という名称は通称であり、
正式には「時間外労働・休日労働に関する協定届」と言います。

前述の法定労働時間を超えて労働をさせることがある場合、
また休日労働をさせる場合、
その詳細をあらかじめ労働基準監督署に届け出なければならない旨が
「労働基準法第36条」に定められているため、
このように呼ばれます。
【36協定の要件と効果】
36協定では、以下の事項を定める必要があります。

(1)時間外(休日)労働をさせる必要のある具体的事由
(2)時間外(休日)労働をさせる必要のある業務の種類
(3)時間外(休日)労働をさせる必要のある労働者数(満18歳以上の者)
(4)時間外労働の上限
(a)1日あたり
(b)1日~3ヶ月あたり(起算日も必要)
(c)1年間あたり(起算日も必要)
(5)協定の有効期間

また、その他にも以下のような記載事項が必要になります。

●事業の種類
●事業の名称
●事業の所在地
●協定の当事者である労働組合の名称または労働者の職名・氏名
●協定の当事者の選出方法
●使用者の職名・氏名(記名押印もしくは直筆署名)
●協定の成立年月日

36協定は
「法定労働時間を超える残業をしても『罰せられない』」
という免罰効果があります。

別の言い方をすれば、
「36協定を届け出していない場合は
(たとえ適法に残業代を支払っていたとしても)罰せられる」
ということになります。

次回も続けて、36協定についてお伝えします。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

(時間外及び休日の労働)
第三十六条
使用者は、当該事業場に、
労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、
労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては
労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、
これを行政官庁に届け出た場合においては、
第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間
(以下この条において「労働時間」という。)
又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)
に関する規定にかかわらず、
その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、
又は休日に労働させることができる。
(以下省略)
(第四十条は「労働時間及び休憩の特例」についての条文です。)

No.53 労働時間・休憩・休日について [2012.07.09]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

本日は、「労働時間」「休憩」「休日」についてお伝えします。
労働基準法第32条は、
「労働時間」について書かれています。
32条は、いろいろな方法に触れていますが、
まずは原則からです。
(労働時間)
第三十二条  使用者は、労働者に、
休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
○2  使用者は、一週間の各日については、労働者に、
休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

※業種等により例外があります。
ここで定められている原則の労働時間を「法定労働時間」といいます。

「休憩」について「第34条」になります。

(休憩)
第三十四条  使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては
少くとも四十五分、
八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を
労働時間の途中に与えなければならない。

※※例外、交替で与える方法などが別途あります。
別の機会にお伝えします。
一日の労働時間が8時間までの場合、
休憩時間は45分でも大丈夫ということになります。
しかし、業務の状態などを考え、
60分にしているところが多いようです。

続いて「休日」については「第35条」です。

(休日)
第三十五条  使用者は、労働者に対して、
毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
○2  前項の規定は、
四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
こちらは、「法定休日」といいます。
あら?
週に1回休みを与えればよい、といいながら、
週に40時間しか働かせてはいけないんですね。

通常、週に40時間以内を達成するために、
週休2日制を取っているところが多いでしょうか。
ただし、労働基準法で週休2日制が定められているわけではありません。
例えば、月曜日~金曜日を各日7時間、土曜日を5時間、
というような設定も可能です。

※労働時間の例外について
次の業種のうち、社員数が【9人以下】の場合、
特別に【1週間で44時間】まで勤務させることができます。

(1)小売・卸売・理美容などの商業
(2)映画館・演劇業など
(3)病院などの保健衛生業
(4)旅館、飲食店などの接客娯楽業

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.52 労働契約の期間 [2012.07.06]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

本日は、「労働契約の期間」について考えます。

労働基準法の第14条は、
「契約の期間」について書かれています。
(契約期間等)
第十四条  労働契約は、期間の定めのないものを除き、
一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、
三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)
を超える期間について締結してはならない。
従業員を雇うときは、契約の期間を決めなければなりません。
期間の決め方は、まず2種類あることはご存知ですね。

①期間の定めのない契約
②期間の定めのある契約
一般的に、「正社員」と言われる従業員さんとは、
期間の定めのない契約を交わすことが多いでしょう。
「期間の定めのない契約」というのは、
ずっと拘束されるという意味ではなく、
「いつでも解約を申し出ることができる」という性質のものです。
「期間の定め」は、長い方がいいというわけではなく、
その間は契約を守らなければならない、ということですので、
長期間(1年を超えるような)契約は、リスクがあると言えます。

つまり、例えば「3年」と決めたら、
3年間は懲戒解雇に該当するようなことがない限り
解雇できないと考えられます。
期間の途中で解雇すると契約違反になります。

(従業員の側からは、暫定措置として、
労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、
使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます。
(労働基準法第137条))
「長く働いてもらいたい」と思う従業員さんとは、
「期間の定めのない契約」を結びましょう。
よほどの事情がなければ、長期間の契約はおすすめしません。
特に、パートタイマーなどは、
「期間の定めのない契約」も可能ではありますが、
(特に雇用契約書等を交わしてなければ、「定めなし」と考えられます。)
契約期間を定めておくことが有効と言えます(6か月、1年など)。

契約、更新の仕方を決めておくことによって
状況によって更新しない(雇止め)ことが可能になります。
ただし、漫然と更新を繰り返したり、
ずっと雇い続けるようなことを言うと、トラブルの元になります。
「期間の定めのない契約」と同じとみなされてしまうこともあります。
なお、5年の労働契約が認められるものについては、
続けて、以下のように定められています。

一  専門的な知識、技術又は経験
(以下この号において「専門的知識等」という。)
であつて高度のものとして
厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等
を有する労働者
(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)
との間に締結される労働契約
二  満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約
(前号に掲げる労働契約を除く。)

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.51 「労働者」と「使用者」 [2012.07.05]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

本日は、法律の、「労働者」と「使用者」について考えてみます。
「労働者」は、労働基準法第9条で、
「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、
賃金を支払われる者」
と定義されています。

一方、「使用者」は、労働基準法第10条で、
「事業主又は
事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、
事業主のために行為をするすべての者」
とされています。

別の法律も見てみましょう。
労働契約法第2条では、

「「労働者」とは、
使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう」
「「使用者」とは、
その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう」
と定義されています。
労働契約法では、お互いに何を出すのか、
両者の関係に絞って説明しています。

労働者は、労働を提供し、
使用者はそれに対して賃金を支払う、
という関係ですね。
労働基準法の「使用者」の方は、何か経営を考えているようです。
つまり、
労働者を雇用して事業を行う事業主だけでなく、
事業主とともに経営を担当する者(取締役など)や
労務担当者・人事担当者・工場長などが含まれると考えられます。

(労務担当者・人事担当者・工場長などは、
場合により使用者でもあり労働者の立場にもなりえます。)
法律の条文を見ていると、読みにくくてとっつきにくいですが、
面白いと思えるものも中にはあります。

事業を興し、従業員を雇っていこうと考えている方は、
(もちろん既に雇っている方も・・・)
こんな条文を眺め、
「人を雇う」とはどういうことなのか、じっくり考えることもいいでしょう。

親戚縁者、お友達、ご紹介があっても、
なあなあではなく、「形(考え)」を整えておき、
きちんと「選考」して、合致している人を雇いましょう。

仲良くやっていきましょう、だけではない、
「使用者」の責任を、今一度、考えてみるのはいかがでしょうか?

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.50 労働条件の原則 [2012.07.03]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
労働基準法から、ピックアップしてお話します。
本日は、労働条件等についてお話していきます。

労働基準法第1条は、労働条件の原則です。

(労働条件の原則)
第一条  労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を
充たすべきものでなければならない。
2  この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、
労働関係の当事者は、
この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、
その向上を図るように努めなければならない。
人たるに値する生活とは、生存権を侵さない最低限度の生活をいいます。

経済情勢の悪化、企業の経営状況の悪化を理由として、
労働条件のダウンを求めたり、話し合ったりすることを
禁止しているわけではありません。

労働基準法第13条は、労働契約の内容についてです。

(この法律違反の契約)
第十三条  この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、
その部分については無効とする。
この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
基準に達しない労働条件を定めた労働契約は、
全部が無効になるのではなく、
基準に達しない部分のみ無効になります。

同様な考え方で、
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、
その部分については無効になり、
無効となった部分は、就業規則で定める基準によります。
労働契約、就業規則、労働協約(使用者等と労働組合が締結した協定)
の関係は、
労働契約<就業規則<労働協約となります。

もちろん、労働契約、就業規則、労働協約のいずれも
労働基準法に違反することはできません。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

なお、明日より水曜日は、
当面コラムをお休みさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

No.48 解雇予告について② [2012.06.29]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
昨日から続けて、「解雇予告」についてお伝えします。

解雇予告の義務とは、
労働者が解雇により急に職を失い、生活に窮することのないよう
(または再就職への時間的猶予を確保できるよう)、
使用者に課せられた30日以上前の予告義務のことを指します。

労働基準法では解雇予告が不要なケースも定めています
(天災地変による場合や重大な労働者の悪事など)が、
この場合も会社側の主観による判断だけでは足りず、
「労働基準監督署の解雇予告除外認定」を受ける必要があります。
この「解雇予告除外認定」ですが、
実際には、労働関係実務を日々取り扱う専門家である社労士でも
めったに取り扱わないレアケースです。

「そんなヒドイ労働者は解雇予告不要だから、即時解雇して問題ない」
とまで言える解雇事案はほとんどないと思うほうが、
のちのトラブルリスクを考えると賢明でしょう。
実際に巷で見聞きする「即時解雇」は
解雇予告除外認定を受けているかというと、
まずほとんどのケースで受けていないと思われます。
ただし、解雇予告に代わる「解雇予告手当」の支払いをした上で
即時解雇するケースはしばしばあります。

対象者以外の従業員への影響を考えると、
痛みを伴いますが、賢明な判断といえるのではないでしょうか。

さて、「解雇」そのものの話に戻りますが、
労働基準法において、
就業規則への「解雇事由」の記載が義務付けられています。
※労働基準法第89条の3 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
(「作成及び届出の義務」のうち、必ず定めなければならない項目として)

また、裁判例でも、
就業規則に定められていない理由による解雇は無効、
とされる場合がほとんどです。
どういう場合に解雇されるかをわかりやすくするため
(解雇についての事前の予測可能性を高めるため)、
就業規則に「退職に関する事項」として
「解雇の事由」を記載する必要があるのです。
就業規則を何年か見直しをしていない事業所様は、
既に作成している就業規則に、
「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載していなければ、
「解雇の事由」を記載しなければなりません。
(就業規則届出の義務のある事業所は、変更も同様に届出が必要です。)

記載もれがないか、今一度チェックしてみてください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.47 解雇予告について① [2012.06.28]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
「解雇」についてお伝えしておりますが
続けて、「解雇予告」について考えます。

法律では、解雇に関し、
「合理的な理由が必要である」と「予告が必要である」
という二つの要件があります。

これらは、解雇には労働者の生活の安定を脅かす可能性があり
(多くの労働者にとっては賃金が唯一の収入源である)、
その点で雇用契約は、特に慎重に保護される必要性があるからです。
そのうち「解雇予告」は、
いわば「再就職先を見つけるための期間」を設けるものですが、
次のようなルールがあります。
1.①30日以上前に予告するか
②平均賃金の30日以上分の解雇予告手当を支払うか
③予告と予告手当を組み合わせるかのいずれかが必要である
一般に、
「1か月前予告」や「1か月分の解雇予告手当」と誤解されがちですが、
正確には「30日以上」です。
つまり、解雇予告時期によっては、
1か月前予告では法律違反となり得ますのでご注意ください。

また、「解雇予告手当には残業代などの手当を含めないでよい」
という誤解も起こりがちですが、
計算根拠となる平均賃金の計算には残業代その他手当を含めますので、
手当を除かずに計算をしてください。
因みに解雇予告手当は
「精神的苦痛」「残業代」等と比べて金額が正確に算出できるため、
解雇を巡る労使トラブルの際に労働者側が主張しやすいものです
(退職した労働者からの「内容証明郵便」の文面に
解雇予告手当がしばしば登場します)。

《労働契約法第16条》
解雇は、
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする。
(労働基準法に定められていましたが、
労働契約法の成立により、労働契約法第16条に移行しました。)

《労働基準法第20条》
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、
少くとも三十日前にその予告をしなければならない。
三十日前に予告をしない使用者は、
三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
但し、天災事変その他やむを得ない事由のために
事業の継続が不可能となつた場合
又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、
この限りでない。
2  前項の予告の日数は、
一日について平均賃金を支払つた場合においては、
その日数を短縮することができる。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.46 解雇について② [2012.06.27]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
昨日に引き続き、「解雇」についてお伝えしますが
本日は違う視点から考えます。

解雇を「するか」「しないか」という場面に直面したとき、
経営者・担当者は何を拠り所にその決断をすればよいのでしょうか。

解雇をめぐる事案には大抵多面性があるため、
その決断は慎重に行わなければなりませんが、
それを「損得」という二元論で考えた場合には、
次の各要素を対比させて考えることができます。
≪解雇を是(得)とする理由≫

1.下記の例のように、その者を雇い続けることで回避できるリスクがあるから
・素行に問題があり企業秩序維持に著しい支障をきたす
・生産性が著しく低く、雇用継続が人件費の無駄以外の理由を持たない
・業務上外の素行不良事実を看過すると企業モラルの低下が起きる

2.財務上や、ワークフロー上の無駄が減ることで効率化を期待できるから

≪(解雇を非(損)と考える理由)≫

1.法律要件たる「合理性・相当性」が十分でない場合、
解雇無効を巡る訴訟が起きるかもしれないから

2.残業代未払いなどの法律違反が明るみになり、
さらなる金銭ダメージが起こるかもしれないから

3.助成金が不支給になるなどの副次被害があるかもしれないから
会社は上記を踏まえて、状況に則した判断をしなければなりません。
しかしながら、中小零細企業にとって、
従業員を、他の業務に就かせたり、部署を異動させるなど、
代替の策を用意することはなかなか難しいですね。

また、社長の考え方、社風などがストレートに反映しますし、
従業員間の雰囲気の善し悪しは、
会社の扱いの不公平感というものが一番怖いです。
対象者本人のことも大事ですが、
他の従業員への影響も十分考えて判断しましょう。

場合によっては、勇気をもって解雇することも大事だと思います。
もちろん、就業規則にも、
解雇する理由をしっかりと記載する必要がありますが、
大企業のマネではない、柔軟なルールが必要と言えます。

もちろん、十分に話し合って解決できれば、それに越したことはありません。
本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.45 解雇について① [2012.06.26]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
今までに少し、「懲戒」についてお話しましたので、
関連して、「解雇」について続けて考えてみたいと思います。

「日本では解雇をしにくい。だから正社員雇用は慎重にしなければ・・・」
と巷で言われていますが、
その根拠はどこにあるのでしょうか。
まずは、解雇にまつわる法律について解説します。
解雇の有効無効については、次の二つが重要なポイントとなります。
1.解雇は、「客観的にみて合理性があり」、「社会通念上の相当性がある」
ことを求められる。

客観的な合理性の有無とは、
『解雇という重いペナルティーに見合うほどの事実があったか』
と解釈できます。

その事実は、
「労働者の問題(横領や無断欠勤など)」と
「会社の問題(業績悪化など)」に分類され、

過去の判例を拠り所にしてその合理性を判断することになります。
また、社会通念上の相当性とは、
「いわゆる一般人10人に解雇の是非について聞いてみたとして、
8人~9人が『解雇止むなし』と考えるかどうか」
と解釈できます。

上記を満たさない場合は、解雇無効(効力なし)となり、
その人との雇用関係は継続することになります。
2.解雇が有効だったとしても、多くの場合「事前予告」をしなければならない。

1の要件をみたす解雇であったとしても、
急にクビをするとその人の生活に支障がでる(かもしれない)ために、
30日以上前の予告が求められるわけです。
(労働基準法第20条)
※予告についてはさらに詳細な決まりごとがあります。
「合理性・相当性」と「予告」。

労使トラブルを防ぐためにも、
解雇のことを考えるときにはまず思い浮かべて欲しいポイントです。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.44 「遅刻3回で1日欠勤の扱い」は可能なのか?【実例】 [2012.06.25]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
【実例】(設定は、実際とは少し変えています。)
Eさんは、入社して浅いですが、とても真面目な社員です。
仕事も早くて正確と評判です。
休むこともめったにありません。
そんなEさんですが、ここ最近、少し疲れているようです。
どうも家庭で問題が起こっているようです。
睡眠不足が続いているようで、
ある日、遅刻してしまいました。
そして何日かして遅刻、そしてまた何日か後に遅刻。

いつも真面目なEさんですし、上司のS氏も心配して声をかけますが、
大丈夫と言うので、それ以上はなかなか言えない状態です。
さて、給料日になりました。

Eさんの給料、遅刻について、
・・・3回遅刻ということで、1日欠勤とされ、
その分の給料が引かれていました。
驚いたEさんは、まずは上司のS氏に確認しましたが、
S氏もそれは経験がなく答えられませんでしたので人事に確認したところ、
就業規則、賃金規程に定めがあるとのことでした。

給料が、多少引かれることは覚悟していましたが、
こんなに引かれるとは思っていませんでした。
そもそも遅刻は3回合わせても、1時間にもなりません。
この制度は本当に有効なのでしょうか???

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この制度を導入している会社様は、たまにあるようです。
(かなり前の話ではありますが、正真正銘「実例」です。^^ゞ)

法的なところでは、解釈の分かれるところのようです。
何が問題になるかというと、
前回お話した、
「減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならない」
という部分ですね(労働基準法第91条)。

就業規則等に定めをしてあることが前提ですが、
解釈によっては法的にもクリア、と考えられますが、
違法になるとも考えられますので、
あまりおすすめできません。

というよりも・・・
そもそも、この制度の目的は、
遅刻した社員を戒め、遅刻をしないようにする制度だと思われます。
しかし、賃金に対する考え方はいろいろで、
中には、「罰金さえ払えばいいんだろ」という従業員もいれば、
そもそも、給料を引かれたことに気付かない従業員もいるのです。

ですから、罰金を取る、というような制度自体を、
あまりおすすめできないのです。
(もちろん定めることもできます。)

遅刻した従業員に対しては、懲戒処分として、
反省を促し、始末書を取るなどの処分を検討すべきかと思います。
もちろん、そこは、「就業規則」の「懲戒」と、
遅刻等に対して減給をするならば、
「就業規則」と「賃金規程」等にも定める必要があります。
おそらく、よく遅刻する従業員がいたので、
そのような従業員対策で、この制度を定めたのだと思いますが、
普段は該当しそうもないのにたまたま遅刻した従業員に適用され、
不満の原因になったりします。

制度設計は慎重に考えてくださいね。
なお、家庭の事情などで、勤務時間を変更した方がよい場合には、
柔軟に対応することもひとつの方法だと思います。

時間を短くしたり、平易な業務への転換や役職の変更等を伴う場合には、
給料を変更することも可能です。
★ただし、遅刻癖のある人間は、
9時には間に合わないから10時に変更すればちゃんと来る、かというと・・・
やっぱり遅刻することが多いので、
そこは別の対策をする必要があるでしょう。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。