No.43 就業規則の制裁規定の制限について [2012.06.22]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日も、もう少し引き続き、
就業規則についての労働基準法に定められているところを見ていきます。
労働基準法第91条には、就業規則の制裁規定の制限が定められています。

就業規則で、
労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、
その減給は、
一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、
総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはなりません。

これは、働いているにもかかわらず、
罰金のようなものとして、給料を払わないことで、
「減給」する場合には、上限が決められています。
事例で検討してみます。

●遅刻・早退や、欠勤などにより、賃金が控除されることは問題ありません。
ただし、遅刻や早退を、例)30分単位で計算しており、
30分に満たない遅刻を30分として控除することは、
この減給にあたることになりますので、注意が必要です。

●就業規則の定めに従い出勤停止を命じ、
その期間中の賃金を支払わないことは問題ありません。

●1日に2個の懲戒事由に該当する行為があれば、
その2個の行為について、
それぞれ平均賃金の1日分の半額ずつ減給することは問題ありません。

●「減給10%」という措置を見ることがありますが、
1回の事由に基づく減給は平均賃金の半日分ですから
この措置は違法となる可能性が高いです。
複数の懲戒理由についてそれぞれに減給額を計算し、
それを合算したものを、
毎月1割以内ずつ差し引いていくことは可能です。

●減給の制裁が1賃金支払期における賃金総額の
10分の1を超えて行う必要が生じた場合、
その減給は、次期の賃金支払期に延ばすことも可能です。
なお、何らかの理由があって、減給という措置を取るわけですが、
減給することを就業規則で規定しておくことが必要です。
減給だけでなく、「懲戒」という項目を作成し、
どのような場合にどのような懲戒処分を行うか、
予め従業員に知らせておきましょう。

すでに就業規則を定めている場合は、
懲戒の項目をチェックしてみてください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。
★なお、「ひばり人事労務コラム」は、
当面、土・日・祝日の掲載をお休みすることにいたしました。

No.42 就業規則作成の手続きについて [2012.06.21]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日は、昨日に引き続き、
就業規則についての労働基準法に定められているところを見ていきます。

労働基準法第90条には、就業規則作成の手続きが定められています。
●就業規則の作成又は変更について、
労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては
その労働組合、
労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては
労働者の過半数を代表する者
の意見を聴かなければなりません。
中小企業では、労働組合のない会社等が一般的かと思います。
この「労働者の過半数を代表する者」を選ぶときには、
いくつか注意が必要です。
この代表者には、管理監督の地位にあるものはなれません。
(管理監督の地位にあるものしかいない場合は、その中から選出します。)

従業員の中から立候補、前任者の指名等による候補者から、
目的を明らかにした上で、
投票、挙手等の方法により選出します。
また、会社が指名してもいけません。

「親睦会」等を作っている会社で、
会長となったものを従業員代表としてよいか、と聞かれることがありますが、
会長となったものを、自動的に代表とすることはできません。
そのものが立候補し、または前任者が指名をするなどをし、
手順を踏んだ選出方法をとる必要があります。

●就業規則の届出には、意見を記した書面を添付しなければなりません。
(第90条第2項)

書面は意見を記してあればよく、記載内容が反対意見であっても構いません。
しかしながら・・・
反対意見を書いた書面を添付することは望ましくないでしょう。
従業員側の意見もよく聞き、納得の上でスタートすることが、
今後の運営にも効果が出ることでしょう。

会社側も、よく説明できるようじっくりと考え、
新しい就業規則をスタートさせましょう。
従業員代表は、それ以外の場面でもたびたび登場します。
選出方法を、よく覚えておきましょう。
なお、
就業規則の作成にしろ、代表選びにしろ、
会社、事業所の小さいうちからルールを作っておけば、
あとあとも、楽に運営できるのではないでしょうか。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.41 就業規則の作成および届出について [2012.06.20]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日は、就業規則の作成および届出についてお伝えします。
こちらは、労働基準法第89条に定められています。
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、
就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。
就業規則を変更したときも同様です。

「常時10人」には、常時使用していれば、パートも含みます。

★義務となっているのは、10人以上ですが、
10人未満の事業所様にも、作成をおすすめしております。
★労働基準監督署長に届け出ることが「義務」ですが、
就業規則の効力が発生するのは、届け出たときではなく、
「労働者に周知したとき」です。
こちらはまた別途、ご説明いたします。
就業規則の記載事項は、
記載が義務づけられている事項(絶対的必要記載事項)と、
その定めをする場合には記載義務のある事項(相対的必要記載事項)
があります。
●絶対的必要記載事項
次の事項は必ず就業規則に記載しなければなりません。

(1)始業及び終業の時刻、休憩時間、休日・休暇、
労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合における
就業時転換に関する事項
(2)賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切及び支払の時期、
昇給に関する事項
(3)退職に関する事項(解雇の事由を含む)
●相対的必要記載事項
次の定めをする場合には就業規則に記載しなければなりません。

(1)退職手当の定めをする場合は、労働者の範囲、
退職手当の決定・計算・支払いの方法及び支払の時期に関する事項
(2)臨時の賃金等及び最低賃金額の定めをする場合は、これらに関する事項
(3)労働者に食事、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合は、
これに関する事項
(4)安全及び衛生に関する定めをする場合は、これに関する事項
(5)職業訓練に関する定めをする場合は、これに関する事項
(6)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合は、
これに関する事項
(7)表彰及び制裁の定めをする場合は、種類及び程度に関する事項
(8)当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合は、
これに関する事項
詳しいところは随時、ご説明したいと思います。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.40 私生活上の犯罪・非行に対する解雇は有効か [2012.06.19]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
No.39では、会社の責任のある従業員の事故について考えましたが、
本日は、従業員が犯罪等を犯した場合を考えてみます。

酒に酔って暴力事件を起こした、
窃盗や不法侵入などの犯罪行為を働いて逮捕された、
痴漢等の性犯罪の加害者となった、など、
私生活上の犯罪行為や非行を理由とした解雇は有効でしょうか。

私生活上の犯罪行為等について、
会社として心情的に許せなくても、
安易に解雇をしないように注意をしなければなりません。
以下のポイントに沿ってその是非を検討してください。

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【1.犯罪の程度】
「懲役刑なのか、数千円の罰金刑なのか」といった
刑罰の重さは解雇有効性に影響を与えうるポイントです。
例えば、「酒に酔って住居不法侵入により罰金刑に処された社員を解雇した」
事案では、
懲戒解雇の相当性がないということで解雇無効の判決が下されました。

【2.職種】
職業に貴賎はないとはいえ、
その職業に特に求められる倫理と、
起こした犯罪のバランスもポイントとなります。
プロボクサーが暴力事件を起こした場合は厳しく罰せられるのと同様に、
例えば乗客の痴漢を厳しく取り締まるべき鉄道会社の社員が、
自ら性犯罪を犯した場合は、解雇の有効性を認められやすいでしょう。

【3.就業規則上の根拠】
もちろん就業規則上にその根拠がなくてはなりません。
「刑法上の犯罪を犯し、会社の信用を著しく落とした場合は、懲戒解雇とする」
などの規定があるかを確認しましょう。

【4.会社の信用を落とした程度】
「事件がメディア報道をされた」「会社にマスコミの取材が来た」
などの事実の有無と、
その程度もポイントとなります。

【5.解雇の場合に労働者が受ける不利益の程度と、事件とのバランス】
「解雇となった時に、退職金が不支給または減額となる」
などの規定がある場合、
そのマイナス分と事件の重大性の
バランスが取れていることも求められるでしょう。
**************************************************

上記ポイントを踏まえて処分を検討してください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.39 業務上事故の使用者責任について [2012.06.18]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
関越自動車道で4月29日に7人が死亡した高速ツアーバスの事故は、
その凄惨さから世間の大きな注目を集めています。

数年前にも、同様の事故が発生し、犠牲者が出ました。
その時から何ら変わっていなかったことが悔やまれてなりません。

価格競争に端を発する業界の下請け・孫請け構造、
労務管理体制の不備や違法性が次々に明らかになると同時に、
今後企業は、
世間からますます高い企業倫理を求められることになるでしょう。

本日は、業務上の事故の使用者責任について取り上げます。
【業務上事故の使用者責任】
そもそも、この「使用者責任」という耳慣れない言葉は、
民法上に規定されているものです。

———————————————————————
<民法715条1項>
ある事業のために他人を使用する者は、
被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
———————————————————————

つまり、仕事をしていて第三者に損害を与えた場合には、
会社には損害賠償責任があるということになります。
ただし、次の例外があります。

———————————————————————
使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、
又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
———————————————————————

これは、会社が相当の注意をしていたのに起きてしまった事故の場合は、
その範囲において会社は賠償責任を負わなくともよい、ということです。

言い方を変えれば
『「会社が相当の注意をしていた」と立証できない限りは、会社の責任はある』
ということになります。

【使用者責任の例】

●残業や休日出勤により疲労の蓄積が認められる状態で交通事故を起こした場合、
その点で企業は責任がある。

●発作を伴う病気を持った労働者であると知りながら
業務上車の運転をさせ事故を起こした場合、使用者責任がある。

●労働者が(勝手に)
不正な会計処理や公文書偽造により第三者に損害を与えた場合、
(会社が不正を命令していないとしても)
監督責任を果たしていないとなる可能性がある。
【事故を起こした労働者の責任はあるか】
もちろん事故を起こした本人にも責任があるため、
会社がその損害賠償金を支払った場合は
本人に請求(「求償」といいます)できます。

しかし、この求償の場合にも、
労働条件や事故防止策について会社の不備がある場合には制限がかかります。
会社はこのように大きな社会的責任を担っている分、
残業等の労働時間管理や内部統制には十分な対策を練る必要があります。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.38 生理休暇は有給?【実例】 [2012.06.17]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
【実例】(設定は、実際とは少し変えています。)
Kさん(♀)は、D社に入社して3か月です。
部署は総務部門で、
職場にも仕事にもようやく慣れてきました。
ある日、大変具合が悪く、
会社に行っても迷惑をかけるので、
当日の朝になりましたが、お休みをもらうことにしました。
先輩社員のT主任(♀)、風邪でも引いたのかな、と心配しています。

次の日、Kさんは出勤、
T主任はKさんから、
「昨日はすみませんでした~。」と言われましたが、
Kさんは、ケロッとした感じで体調不良でもなさそうです。

疑問に思いつつも、
仕事が忙しかったので、その日は特に何も聞きませんでした。
Kさんは、O部長に「休暇届」を提出、
理由の欄には「生理痛のため」と記載しました。
O部長(途中入社)は、それを見て、「有給」で処理をしました。
過去に働いていた会社では生理休暇は有給だったので、
特に深くは考えていませんでした。
その話を聞いた先輩社員のT主任は、ちょっと疑問に思いました。

T主任は、O部長に確認に行きました。
早速「就業規則」を見せてもらいましたが、
「生理休暇」について書いてはあるものの、
給料がどうなるかについては特に書かれていませんでした。

T主任の気持ちはこうです。

Kさんは、まだ入社したてなのに、
具合が悪かったとはいえ、当日連絡で欠勤し、
自分に仕事のしわ寄せがきて、
その上、その理由が「生理休暇」の場合は有給になるなんて・・・

生理痛のひどい方はいるとは思うけれど、
生理休暇はほんとに有給なの?
風邪でも引いたというなら次の日も具合悪いだろうからわかるけど、
次の日はケロッとしていたし、証明もできないじゃないですか!
なんだか理不尽です。
O部長は、改めて「就業規則」を確認し、
休暇の、給料の扱いについて曖昧になっていることを認識しました。
今回は、特に説明等もしていなかったので、
Kさんの休暇は有給として扱うが、
近々に、いろいろな角度から就業規則の見直しをし、
T主任の意見も聞いてくれることになりました。

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いわゆる「生理休暇」は、
労働基準法第68条に定められています。

(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
第68条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、
その者を生理日に就業させてはならない。

これは、「日」だけでなく、時間でも構いません。
年次有給休暇と違って、変更するわけにもいきません。
また、証明するものも必要とせず、自己申告となります。

ただし、給料については定めがなく、
有給とするか無給とするかは会社で決めることができます。

中小企業では、
無給とし、有給休暇に振り替えることができる、
とするのが一般的かと思います。
生理の状態は、人によって大きな違いがあります。
男性はもちろんのこと、
女性でも、そこには差があるので、理解しにくい場合もあります。
また、それを利用している女性も残念ながらいると思います。

はじめにしっかりルールを作っておくことが必要ですね。

ちなみに、生理の重い方で病院にかかったことがない場合は、
相談してみることも大事です。
漢方薬が有効であったり、他の病気が隠れていることもあります。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.37 ハローワーク職員、情報漏えいで逮捕(その教訓)【ニュース】 [2012.06.16]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日は、ニュースからの考察です。
今月初め、ハローワークの職員が、
雇用保険の情報を漏えいしたということで、
国家公務員法違反の疑いで警察に逮捕されました。

また、受け取った側の情報会社の社員も逮捕されました。

そして、それを受け、厚生労働省の対策が発表されました。
このニュースから、何を考えればよいでしょうか。
どの部門に限らず、
「就業規則」等に、情報の取り扱いについて定め、
退職後であっても漏えいしてはならない旨を記載します。
入社時および退職時には、
個別に「秘密保持誓約書」等を取得しましょう。

今は「情報」の時代で、
どんな部門で働こうと、「守秘義務」はありますが、
人事部門の従業員は、特に、
「守秘義務」ということに気を使います。

今回の事件のように、外部に漏えいするということは、
めったにあることではありませんが、
人事部門が気にするのは、
内部(同僚)へも秘密を守る必要があるということです。
で、飲み会に行っても、
他の従業員は、情報を得ようとカマをかけてきたりします。

人事担当者は孤独になりがちなので、
ストレスからのメンタルヘルス不調にも、
気を配る必要があります。
直接の関係はないかもしれませんが、
「他山の石」としましょう。
ニュースを抜粋しておきます。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

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「職歴情報漏えい:1000件超か 数年にわたり、やり取り」

毎日新聞 2012年6月3日

横浜市中区の横浜公共職業安定所(ハローワーク横浜)の
職歴情報漏えい事件で、
国家公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで
愛知県警に逮捕された非常勤職員のN容疑者(47)が、
これまでに1000件以上の情報を部外者に不正に漏らしていた疑い
のあることが県警への取材でわかった。
西沢容疑者は全国の雇用保険の被保険者のデータに自由にアクセスでき、
九州や南関東など全国の被保険者の情報が外部に流出したとみられる。
捜査関係者によるとN容疑者は11年1月以降、
全国の被保険者約4万8000人の情報にアクセスした記録が残っており、
ほかの職員よりアクセス数が多く
漏えいは少なくとも1000件以上あるとみて捜査している。
調べでは、同法違反容疑で逮捕された調査会社役員、F容疑者(51)は、
複数の調査会社の依頼を受け、
N容疑者に情報提供を依頼し職歴情報を不正取得。
2人は数年にわたって情報をやり取りしていた可能性があるという。
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「ハローワーク情報漏えい 対策強化」

NHK WEB 2012年6月13日

横浜市のハローワークの相談員が
雇用保険に加入している人の個人情報を外部に漏らしたとして
逮捕された事件を受けて、
厚生労働省はハローワークの職員が閲覧した個人情報の内容を
毎日、上司に報告させるなど情報の
漏えいを防ぐための対策を強化することになりました。
横浜市にある「ハローワーク横浜」の47歳の相談員の女は、
雇用保険に加入している人の職歴などの個人情報
を調査会社に漏らしたとして、
今月1日国家公務員法違反の疑いで警察に逮捕されました。

この事件を受けて、
個人情報の漏えいを防ぐための対策を検討していた厚生労働省は
新たな対策をまとめ、12日、全国の労働局に通知しました。
それによりますと、個人情報にアクセスする権限を、
窓口で対応する支援員など特定の業務に当たる職員に制限するほか、
職員が個人情報を閲覧した場合、
その内容や件数を毎日、上司に報告するとしています。
さらに、個人情報を閲覧した理由について調べる
「抜き打ち検査」も定期的に実施するとしています。
厚生労働省は「個人情報の適正な取り扱いを徹底し、
綱紀粛正を図りたい」と話しています。
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※このページでは、容疑者の実名を控えさせていただきました。

No.36 社会保険の加入要件について [2012.06.15]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
No.7において、新規で加入する社会保険についてお伝えしました。
No.7 社会保険の加入②社会保険

本日は、それを踏まえて、確認にてご説明をしたいと思います。

以下の民間企業は、
社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する必要があります。
・個人事業(従業員5人以上、製造業・卸売業などのうち16業種)
・法人企業(従業員の数は問わない)
また、社会保険には「被保険者」となる基準が定められています。
その基準とは、どのようなものでしょうか。
まず、正社員は社会保険被保険者となります。
正社員以外は、主に以下2つ条件でしたら加入しなくてよいとされています。
【1.正社員と比べて「働く時間」か「労働日数」が3/4未満の者】
(a)正社員の週所定労働時間が40時間の場合
【40日 × 3/4 = 30時間】未満
(b)正社員の月の所定労働日数が22日の場合
【22日 × 3/4 = 16.5日】未満
パートタイマーの労働条件について、
上記の「時間」または「日数」をひとつの基準として
社会保険加入の有無を判断してください。

なお、社会保険加入に関する行政調査の際には、
「契約上」よりもむしろ「実態」を元に適用を判断されます¬¬¬¬¬。
つまり、たとえ契約上は社会保険適用除外であっても、
実態として基準を超えていれば「社会保険適用すべし」となります。
この点で、社会保険加入基準ギリギリのパートタイマーについては、
時間などの管理を厳格に行うことが必要でしょう。

補足として、前述の労働時間(週30時間未満)を基準とする場合、
その30時間を月に換算すると概ね「130時間」となります。
月次の労働時間を見て130時間を超えている場合、
社会保険の加入義務があると判断されますので、参考にしてください。
また、前述の(a)(b)は
「どちらかひとつを満した」場合は適用除外となりますので、
社会保険に加入をしないためには
「労働時間を抑える」か「労働日数を抑える」かのいずれかの方策を取ればよい、
ということになります。
【2.日雇いや2月以内の期間雇用者】
いわゆる期間雇用者などについては、
上記のように適用除外要件が定められています。
その他にも要件はありますが、
以上の2つを代表的なものとして覚えておくと便利です。

以上、社会保険の加入要件についてでした。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

 

No.35 賃金支払の5原則 [2012.06.14]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
労働基準監督署から、事業所が指摘される事項として、
「賃金の未払い」の問題が増えています。
本日は、基礎となる、賃金支払いの原則についてお伝えします。
労働基準法第24条は、賃金の支払について定められています。
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければなりません。
また、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。

①通貨払の原則
②直接払の原則
③全額払の原則
④毎月1回以上払の原則
⑤一定期日払の原則

ひとつずつ見ていきましょう。
①通貨払の原則
賃金は通貨(現金)によって支払わなければなりません。
ただし、労働者の同意を得て銀行口座に振り込む事は認められています。
外国通貨や小切手による支払は違法になります。
②直接払の原則
賃金は、直接労働者に支払わなければなりません。
未成年者にも直接支払わなければなりません。
※代理人に支払うことはできませんが、
使者に支払うことは認められています。
③全額払の原則
賃金はその全額を支払わなければなりません。
次の例外があります。
・法令に別段の定めがある場合
給与所得税の源泉徴収、社会保険料の控除等は認められます。
・従業員との労使協定により賃金から控除することとしたもの
購買代金、社宅等の賃貸料、労働組合費等
④毎月1回以上払の原則
賃金の支払いは毎月1回以上支払う必要があります。
毎月一回以上ですので日払いや週払いも問題ありません。
⑤一定期日払の原則
賃金は、毎月一定の期日に支払わなければなりません。
25日から月末、毎月第2月曜日などは支払日を特定できませんので、
一定期日とはいえません。
支払日が休日にあたる場合、
支払を繰り上げて支払うこと、又は繰り下げて支払うことは、
いずれも一定期日払いに違反しません。
※月末支払となっている場合、繰り下げてしまうと、
毎月1回以上払いの原則に違反すると考えられます。

よくある勘違いで、知らずに法に違反していることもあります。
例えば・・・
・遅刻を15分単位で計算し、7分の遅刻を15分として控除する。
・残業代を賞与でまとめて支払う。
などは違反となりますので注意してください。

また、それぞれのルールは、
就業規則に定めておきましょう。
他にも、細かい規定や例外などもありますので、
気になっていることがありましたら、当オフィスにお尋ねください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.34 学生・生徒自殺、初の1000人超【ニュース】 [2012.06.13]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日は、ニュース記事からお送りいたします。
日本では、ここ14年連続で、
自殺者の数が3万人を超えています。
この3万人超という方々の命、数字をどう思われますか?

わたくしは地方の出身ですが、
生まれ故郷の「町」の人口は、約15,000人ほどでした。
(現在は合併しております。)
毎年毎年、2つの町が無くなっていることになります。

この話はこれからも取り上げていきますが。
そんな中、8日、政府は24年版「自殺対策白書」を公表し、
2011年の学生・生徒などの自殺者数は、
1,000人を超えたことが分かりました。
「雇用情勢の悪化」を一因に挙げているようです。
ストレス耐性の弱さ、という問題があるとされる中、
社会人となった若者たちに、
「社会人基礎力」をつけてもらう取組をしている我々にとって、
その前の段階で多くの人が命を落としている事実には、
忸怩たる思いがあります。
なんとか別の形で克服を助け、
その先の人生を経験してもらいたいと切に思います。

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2012.6.8 産経新聞

平成23年の自殺者は3万651人と、
10年以来初めて3万1千人を下回ったが、
一方で就職活動の失敗を苦に
10~20代の若者が自殺するケースが目立っていることが
8日、政府が公表した24年版「自殺対策白書」で明らかになった。
白書によると、23年の大学生などの自殺は、
前年比101人増の1029人で、
調査を開始した昭和53年以来初めて千人を突破した。
内閣府は「雇用情勢の悪化」を一因に挙げている。
警察庁の統計では、
「就職失敗」による10~20代の自殺者数は
平成19年の60人から23年は150人にまで増加している。
大学新卒者の就職率(4月1日現在)は
過去最低だった23年の91・0%から
24年は93・6%と4年ぶりに上昇したが
「改善とまではいえない。
実際に80社以上申し込んでも内定が得られないという学生もいる」
(大学関係者)。
全国自死遺族総合支援センターの杉本脩子代表は
「何度も落ちることで次第に追い込まれ、
『自分には価値がないのではないか』と孤立感を深めていくのでは」
と分析する。
このため心のケアに力を入れる大学も増えている。

千葉県内の私立大の就職課は、
リクルートスーツ姿の学生が目立ち始める1~4月、
学生らの「表情」を気にし始めるという。
「学生が企業と接触し始めるのがこの時期。
厳しい質問に面食らい、ふさぎこむ学生も多いので
積極的に声をかけて励ましている」(担当者)。
都内の中堅大学では
昨年から就職部のスタッフらが4年生全員と面談を実施。
「マイナス思考になりがちな学生には、違った見方もあることを伝え、
気持ちが前向きになるよう丁寧にアドバイスをしていく」という。
厚生労働省も全国57カ所の「新卒応援ハローワーク」で、
内定のないまま卒業した学生のケアを行っている。
同省は
「顔を見せなくなれば、電話やメールで就職活動再開を促している。
学生に寄り添う型の支援がますます重要になってくる」
としている。
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本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。