No.47 解雇予告について① [2012.06.28]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
「解雇」についてお伝えしておりますが
続けて、「解雇予告」について考えます。

法律では、解雇に関し、
「合理的な理由が必要である」と「予告が必要である」
という二つの要件があります。

これらは、解雇には労働者の生活の安定を脅かす可能性があり
(多くの労働者にとっては賃金が唯一の収入源である)、
その点で雇用契約は、特に慎重に保護される必要性があるからです。
そのうち「解雇予告」は、
いわば「再就職先を見つけるための期間」を設けるものですが、
次のようなルールがあります。
1.①30日以上前に予告するか
②平均賃金の30日以上分の解雇予告手当を支払うか
③予告と予告手当を組み合わせるかのいずれかが必要である
一般に、
「1か月前予告」や「1か月分の解雇予告手当」と誤解されがちですが、
正確には「30日以上」です。
つまり、解雇予告時期によっては、
1か月前予告では法律違反となり得ますのでご注意ください。

また、「解雇予告手当には残業代などの手当を含めないでよい」
という誤解も起こりがちですが、
計算根拠となる平均賃金の計算には残業代その他手当を含めますので、
手当を除かずに計算をしてください。
因みに解雇予告手当は
「精神的苦痛」「残業代」等と比べて金額が正確に算出できるため、
解雇を巡る労使トラブルの際に労働者側が主張しやすいものです
(退職した労働者からの「内容証明郵便」の文面に
解雇予告手当がしばしば登場します)。

《労働契約法第16条》
解雇は、
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする。
(労働基準法に定められていましたが、
労働契約法の成立により、労働契約法第16条に移行しました。)

《労働基準法第20条》
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、
少くとも三十日前にその予告をしなければならない。
三十日前に予告をしない使用者は、
三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
但し、天災事変その他やむを得ない事由のために
事業の継続が不可能となつた場合
又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、
この限りでない。
2  前項の予告の日数は、
一日について平均賃金を支払つた場合においては、
その日数を短縮することができる。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.46 解雇について② [2012.06.27]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
昨日に引き続き、「解雇」についてお伝えしますが
本日は違う視点から考えます。

解雇を「するか」「しないか」という場面に直面したとき、
経営者・担当者は何を拠り所にその決断をすればよいのでしょうか。

解雇をめぐる事案には大抵多面性があるため、
その決断は慎重に行わなければなりませんが、
それを「損得」という二元論で考えた場合には、
次の各要素を対比させて考えることができます。
≪解雇を是(得)とする理由≫

1.下記の例のように、その者を雇い続けることで回避できるリスクがあるから
・素行に問題があり企業秩序維持に著しい支障をきたす
・生産性が著しく低く、雇用継続が人件費の無駄以外の理由を持たない
・業務上外の素行不良事実を看過すると企業モラルの低下が起きる

2.財務上や、ワークフロー上の無駄が減ることで効率化を期待できるから

≪(解雇を非(損)と考える理由)≫

1.法律要件たる「合理性・相当性」が十分でない場合、
解雇無効を巡る訴訟が起きるかもしれないから

2.残業代未払いなどの法律違反が明るみになり、
さらなる金銭ダメージが起こるかもしれないから

3.助成金が不支給になるなどの副次被害があるかもしれないから
会社は上記を踏まえて、状況に則した判断をしなければなりません。
しかしながら、中小零細企業にとって、
従業員を、他の業務に就かせたり、部署を異動させるなど、
代替の策を用意することはなかなか難しいですね。

また、社長の考え方、社風などがストレートに反映しますし、
従業員間の雰囲気の善し悪しは、
会社の扱いの不公平感というものが一番怖いです。
対象者本人のことも大事ですが、
他の従業員への影響も十分考えて判断しましょう。

場合によっては、勇気をもって解雇することも大事だと思います。
もちろん、就業規則にも、
解雇する理由をしっかりと記載する必要がありますが、
大企業のマネではない、柔軟なルールが必要と言えます。

もちろん、十分に話し合って解決できれば、それに越したことはありません。
本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.45 解雇について① [2012.06.26]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
今までに少し、「懲戒」についてお話しましたので、
関連して、「解雇」について続けて考えてみたいと思います。

「日本では解雇をしにくい。だから正社員雇用は慎重にしなければ・・・」
と巷で言われていますが、
その根拠はどこにあるのでしょうか。
まずは、解雇にまつわる法律について解説します。
解雇の有効無効については、次の二つが重要なポイントとなります。
1.解雇は、「客観的にみて合理性があり」、「社会通念上の相当性がある」
ことを求められる。

客観的な合理性の有無とは、
『解雇という重いペナルティーに見合うほどの事実があったか』
と解釈できます。

その事実は、
「労働者の問題(横領や無断欠勤など)」と
「会社の問題(業績悪化など)」に分類され、

過去の判例を拠り所にしてその合理性を判断することになります。
また、社会通念上の相当性とは、
「いわゆる一般人10人に解雇の是非について聞いてみたとして、
8人~9人が『解雇止むなし』と考えるかどうか」
と解釈できます。

上記を満たさない場合は、解雇無効(効力なし)となり、
その人との雇用関係は継続することになります。
2.解雇が有効だったとしても、多くの場合「事前予告」をしなければならない。

1の要件をみたす解雇であったとしても、
急にクビをするとその人の生活に支障がでる(かもしれない)ために、
30日以上前の予告が求められるわけです。
(労働基準法第20条)
※予告についてはさらに詳細な決まりごとがあります。
「合理性・相当性」と「予告」。

労使トラブルを防ぐためにも、
解雇のことを考えるときにはまず思い浮かべて欲しいポイントです。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.44 「遅刻3回で1日欠勤の扱い」は可能なのか?【実例】 [2012.06.25]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
【実例】(設定は、実際とは少し変えています。)
Eさんは、入社して浅いですが、とても真面目な社員です。
仕事も早くて正確と評判です。
休むこともめったにありません。
そんなEさんですが、ここ最近、少し疲れているようです。
どうも家庭で問題が起こっているようです。
睡眠不足が続いているようで、
ある日、遅刻してしまいました。
そして何日かして遅刻、そしてまた何日か後に遅刻。

いつも真面目なEさんですし、上司のS氏も心配して声をかけますが、
大丈夫と言うので、それ以上はなかなか言えない状態です。
さて、給料日になりました。

Eさんの給料、遅刻について、
・・・3回遅刻ということで、1日欠勤とされ、
その分の給料が引かれていました。
驚いたEさんは、まずは上司のS氏に確認しましたが、
S氏もそれは経験がなく答えられませんでしたので人事に確認したところ、
就業規則、賃金規程に定めがあるとのことでした。

給料が、多少引かれることは覚悟していましたが、
こんなに引かれるとは思っていませんでした。
そもそも遅刻は3回合わせても、1時間にもなりません。
この制度は本当に有効なのでしょうか???

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この制度を導入している会社様は、たまにあるようです。
(かなり前の話ではありますが、正真正銘「実例」です。^^ゞ)

法的なところでは、解釈の分かれるところのようです。
何が問題になるかというと、
前回お話した、
「減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならない」
という部分ですね(労働基準法第91条)。

就業規則等に定めをしてあることが前提ですが、
解釈によっては法的にもクリア、と考えられますが、
違法になるとも考えられますので、
あまりおすすめできません。

というよりも・・・
そもそも、この制度の目的は、
遅刻した社員を戒め、遅刻をしないようにする制度だと思われます。
しかし、賃金に対する考え方はいろいろで、
中には、「罰金さえ払えばいいんだろ」という従業員もいれば、
そもそも、給料を引かれたことに気付かない従業員もいるのです。

ですから、罰金を取る、というような制度自体を、
あまりおすすめできないのです。
(もちろん定めることもできます。)

遅刻した従業員に対しては、懲戒処分として、
反省を促し、始末書を取るなどの処分を検討すべきかと思います。
もちろん、そこは、「就業規則」の「懲戒」と、
遅刻等に対して減給をするならば、
「就業規則」と「賃金規程」等にも定める必要があります。
おそらく、よく遅刻する従業員がいたので、
そのような従業員対策で、この制度を定めたのだと思いますが、
普段は該当しそうもないのにたまたま遅刻した従業員に適用され、
不満の原因になったりします。

制度設計は慎重に考えてくださいね。
なお、家庭の事情などで、勤務時間を変更した方がよい場合には、
柔軟に対応することもひとつの方法だと思います。

時間を短くしたり、平易な業務への転換や役職の変更等を伴う場合には、
給料を変更することも可能です。
★ただし、遅刻癖のある人間は、
9時には間に合わないから10時に変更すればちゃんと来る、かというと・・・
やっぱり遅刻することが多いので、
そこは別の対策をする必要があるでしょう。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.43 就業規則の制裁規定の制限について [2012.06.22]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日も、もう少し引き続き、
就業規則についての労働基準法に定められているところを見ていきます。
労働基準法第91条には、就業規則の制裁規定の制限が定められています。

就業規則で、
労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、
その減給は、
一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、
総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはなりません。

これは、働いているにもかかわらず、
罰金のようなものとして、給料を払わないことで、
「減給」する場合には、上限が決められています。
事例で検討してみます。

●遅刻・早退や、欠勤などにより、賃金が控除されることは問題ありません。
ただし、遅刻や早退を、例)30分単位で計算しており、
30分に満たない遅刻を30分として控除することは、
この減給にあたることになりますので、注意が必要です。

●就業規則の定めに従い出勤停止を命じ、
その期間中の賃金を支払わないことは問題ありません。

●1日に2個の懲戒事由に該当する行為があれば、
その2個の行為について、
それぞれ平均賃金の1日分の半額ずつ減給することは問題ありません。

●「減給10%」という措置を見ることがありますが、
1回の事由に基づく減給は平均賃金の半日分ですから
この措置は違法となる可能性が高いです。
複数の懲戒理由についてそれぞれに減給額を計算し、
それを合算したものを、
毎月1割以内ずつ差し引いていくことは可能です。

●減給の制裁が1賃金支払期における賃金総額の
10分の1を超えて行う必要が生じた場合、
その減給は、次期の賃金支払期に延ばすことも可能です。
なお、何らかの理由があって、減給という措置を取るわけですが、
減給することを就業規則で規定しておくことが必要です。
減給だけでなく、「懲戒」という項目を作成し、
どのような場合にどのような懲戒処分を行うか、
予め従業員に知らせておきましょう。

すでに就業規則を定めている場合は、
懲戒の項目をチェックしてみてください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。
★なお、「ひばり人事労務コラム」は、
当面、土・日・祝日の掲載をお休みすることにいたしました。

No.42 就業規則作成の手続きについて [2012.06.21]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日は、昨日に引き続き、
就業規則についての労働基準法に定められているところを見ていきます。

労働基準法第90条には、就業規則作成の手続きが定められています。
●就業規則の作成又は変更について、
労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては
その労働組合、
労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては
労働者の過半数を代表する者
の意見を聴かなければなりません。
中小企業では、労働組合のない会社等が一般的かと思います。
この「労働者の過半数を代表する者」を選ぶときには、
いくつか注意が必要です。
この代表者には、管理監督の地位にあるものはなれません。
(管理監督の地位にあるものしかいない場合は、その中から選出します。)

従業員の中から立候補、前任者の指名等による候補者から、
目的を明らかにした上で、
投票、挙手等の方法により選出します。
また、会社が指名してもいけません。

「親睦会」等を作っている会社で、
会長となったものを従業員代表としてよいか、と聞かれることがありますが、
会長となったものを、自動的に代表とすることはできません。
そのものが立候補し、または前任者が指名をするなどをし、
手順を踏んだ選出方法をとる必要があります。

●就業規則の届出には、意見を記した書面を添付しなければなりません。
(第90条第2項)

書面は意見を記してあればよく、記載内容が反対意見であっても構いません。
しかしながら・・・
反対意見を書いた書面を添付することは望ましくないでしょう。
従業員側の意見もよく聞き、納得の上でスタートすることが、
今後の運営にも効果が出ることでしょう。

会社側も、よく説明できるようじっくりと考え、
新しい就業規則をスタートさせましょう。
従業員代表は、それ以外の場面でもたびたび登場します。
選出方法を、よく覚えておきましょう。
なお、
就業規則の作成にしろ、代表選びにしろ、
会社、事業所の小さいうちからルールを作っておけば、
あとあとも、楽に運営できるのではないでしょうか。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.41 就業規則の作成および届出について [2012.06.20]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日は、就業規則の作成および届出についてお伝えします。
こちらは、労働基準法第89条に定められています。
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、
就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。
就業規則を変更したときも同様です。

「常時10人」には、常時使用していれば、パートも含みます。

★義務となっているのは、10人以上ですが、
10人未満の事業所様にも、作成をおすすめしております。
★労働基準監督署長に届け出ることが「義務」ですが、
就業規則の効力が発生するのは、届け出たときではなく、
「労働者に周知したとき」です。
こちらはまた別途、ご説明いたします。
就業規則の記載事項は、
記載が義務づけられている事項(絶対的必要記載事項)と、
その定めをする場合には記載義務のある事項(相対的必要記載事項)
があります。
●絶対的必要記載事項
次の事項は必ず就業規則に記載しなければなりません。

(1)始業及び終業の時刻、休憩時間、休日・休暇、
労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合における
就業時転換に関する事項
(2)賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切及び支払の時期、
昇給に関する事項
(3)退職に関する事項(解雇の事由を含む)
●相対的必要記載事項
次の定めをする場合には就業規則に記載しなければなりません。

(1)退職手当の定めをする場合は、労働者の範囲、
退職手当の決定・計算・支払いの方法及び支払の時期に関する事項
(2)臨時の賃金等及び最低賃金額の定めをする場合は、これらに関する事項
(3)労働者に食事、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合は、
これに関する事項
(4)安全及び衛生に関する定めをする場合は、これに関する事項
(5)職業訓練に関する定めをする場合は、これに関する事項
(6)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合は、
これに関する事項
(7)表彰及び制裁の定めをする場合は、種類及び程度に関する事項
(8)当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合は、
これに関する事項
詳しいところは随時、ご説明したいと思います。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.37 ハローワーク職員、情報漏えいで逮捕(その教訓)【ニュース】 [2012.06.16]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日は、ニュースからの考察です。
今月初め、ハローワークの職員が、
雇用保険の情報を漏えいしたということで、
国家公務員法違反の疑いで警察に逮捕されました。

また、受け取った側の情報会社の社員も逮捕されました。

そして、それを受け、厚生労働省の対策が発表されました。
このニュースから、何を考えればよいでしょうか。
どの部門に限らず、
「就業規則」等に、情報の取り扱いについて定め、
退職後であっても漏えいしてはならない旨を記載します。
入社時および退職時には、
個別に「秘密保持誓約書」等を取得しましょう。

今は「情報」の時代で、
どんな部門で働こうと、「守秘義務」はありますが、
人事部門の従業員は、特に、
「守秘義務」ということに気を使います。

今回の事件のように、外部に漏えいするということは、
めったにあることではありませんが、
人事部門が気にするのは、
内部(同僚)へも秘密を守る必要があるということです。
で、飲み会に行っても、
他の従業員は、情報を得ようとカマをかけてきたりします。

人事担当者は孤独になりがちなので、
ストレスからのメンタルヘルス不調にも、
気を配る必要があります。
直接の関係はないかもしれませんが、
「他山の石」としましょう。
ニュースを抜粋しておきます。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

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「職歴情報漏えい:1000件超か 数年にわたり、やり取り」

毎日新聞 2012年6月3日

横浜市中区の横浜公共職業安定所(ハローワーク横浜)の
職歴情報漏えい事件で、
国家公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで
愛知県警に逮捕された非常勤職員のN容疑者(47)が、
これまでに1000件以上の情報を部外者に不正に漏らしていた疑い
のあることが県警への取材でわかった。
西沢容疑者は全国の雇用保険の被保険者のデータに自由にアクセスでき、
九州や南関東など全国の被保険者の情報が外部に流出したとみられる。
捜査関係者によるとN容疑者は11年1月以降、
全国の被保険者約4万8000人の情報にアクセスした記録が残っており、
ほかの職員よりアクセス数が多く
漏えいは少なくとも1000件以上あるとみて捜査している。
調べでは、同法違反容疑で逮捕された調査会社役員、F容疑者(51)は、
複数の調査会社の依頼を受け、
N容疑者に情報提供を依頼し職歴情報を不正取得。
2人は数年にわたって情報をやり取りしていた可能性があるという。
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「ハローワーク情報漏えい 対策強化」

NHK WEB 2012年6月13日

横浜市のハローワークの相談員が
雇用保険に加入している人の個人情報を外部に漏らしたとして
逮捕された事件を受けて、
厚生労働省はハローワークの職員が閲覧した個人情報の内容を
毎日、上司に報告させるなど情報の
漏えいを防ぐための対策を強化することになりました。
横浜市にある「ハローワーク横浜」の47歳の相談員の女は、
雇用保険に加入している人の職歴などの個人情報
を調査会社に漏らしたとして、
今月1日国家公務員法違反の疑いで警察に逮捕されました。

この事件を受けて、
個人情報の漏えいを防ぐための対策を検討していた厚生労働省は
新たな対策をまとめ、12日、全国の労働局に通知しました。
それによりますと、個人情報にアクセスする権限を、
窓口で対応する支援員など特定の業務に当たる職員に制限するほか、
職員が個人情報を閲覧した場合、
その内容や件数を毎日、上司に報告するとしています。
さらに、個人情報を閲覧した理由について調べる
「抜き打ち検査」も定期的に実施するとしています。
厚生労働省は「個人情報の適正な取り扱いを徹底し、
綱紀粛正を図りたい」と話しています。
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※このページでは、容疑者の実名を控えさせていただきました。

No.36 社会保険の加入要件について [2012.06.15]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
No.7において、新規で加入する社会保険についてお伝えしました。
No.7 社会保険の加入②社会保険

本日は、それを踏まえて、確認にてご説明をしたいと思います。

以下の民間企業は、
社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する必要があります。
・個人事業(従業員5人以上、製造業・卸売業などのうち16業種)
・法人企業(従業員の数は問わない)
また、社会保険には「被保険者」となる基準が定められています。
その基準とは、どのようなものでしょうか。
まず、正社員は社会保険被保険者となります。
正社員以外は、主に以下2つ条件でしたら加入しなくてよいとされています。
【1.正社員と比べて「働く時間」か「労働日数」が3/4未満の者】
(a)正社員の週所定労働時間が40時間の場合
【40日 × 3/4 = 30時間】未満
(b)正社員の月の所定労働日数が22日の場合
【22日 × 3/4 = 16.5日】未満
パートタイマーの労働条件について、
上記の「時間」または「日数」をひとつの基準として
社会保険加入の有無を判断してください。

なお、社会保険加入に関する行政調査の際には、
「契約上」よりもむしろ「実態」を元に適用を判断されます¬¬¬¬¬。
つまり、たとえ契約上は社会保険適用除外であっても、
実態として基準を超えていれば「社会保険適用すべし」となります。
この点で、社会保険加入基準ギリギリのパートタイマーについては、
時間などの管理を厳格に行うことが必要でしょう。

補足として、前述の労働時間(週30時間未満)を基準とする場合、
その30時間を月に換算すると概ね「130時間」となります。
月次の労働時間を見て130時間を超えている場合、
社会保険の加入義務があると判断されますので、参考にしてください。
また、前述の(a)(b)は
「どちらかひとつを満した」場合は適用除外となりますので、
社会保険に加入をしないためには
「労働時間を抑える」か「労働日数を抑える」かのいずれかの方策を取ればよい、
ということになります。
【2.日雇いや2月以内の期間雇用者】
いわゆる期間雇用者などについては、
上記のように適用除外要件が定められています。
その他にも要件はありますが、
以上の2つを代表的なものとして覚えておくと便利です。

以上、社会保険の加入要件についてでした。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

 

No.35 賃金支払の5原則 [2012.06.14]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
労働基準監督署から、事業所が指摘される事項として、
「賃金の未払い」の問題が増えています。
本日は、基礎となる、賃金支払いの原則についてお伝えします。
労働基準法第24条は、賃金の支払について定められています。
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければなりません。
また、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。

①通貨払の原則
②直接払の原則
③全額払の原則
④毎月1回以上払の原則
⑤一定期日払の原則

ひとつずつ見ていきましょう。
①通貨払の原則
賃金は通貨(現金)によって支払わなければなりません。
ただし、労働者の同意を得て銀行口座に振り込む事は認められています。
外国通貨や小切手による支払は違法になります。
②直接払の原則
賃金は、直接労働者に支払わなければなりません。
未成年者にも直接支払わなければなりません。
※代理人に支払うことはできませんが、
使者に支払うことは認められています。
③全額払の原則
賃金はその全額を支払わなければなりません。
次の例外があります。
・法令に別段の定めがある場合
給与所得税の源泉徴収、社会保険料の控除等は認められます。
・従業員との労使協定により賃金から控除することとしたもの
購買代金、社宅等の賃貸料、労働組合費等
④毎月1回以上払の原則
賃金の支払いは毎月1回以上支払う必要があります。
毎月一回以上ですので日払いや週払いも問題ありません。
⑤一定期日払の原則
賃金は、毎月一定の期日に支払わなければなりません。
25日から月末、毎月第2月曜日などは支払日を特定できませんので、
一定期日とはいえません。
支払日が休日にあたる場合、
支払を繰り上げて支払うこと、又は繰り下げて支払うことは、
いずれも一定期日払いに違反しません。
※月末支払となっている場合、繰り下げてしまうと、
毎月1回以上払いの原則に違反すると考えられます。

よくある勘違いで、知らずに法に違反していることもあります。
例えば・・・
・遅刻を15分単位で計算し、7分の遅刻を15分として控除する。
・残業代を賞与でまとめて支払う。
などは違反となりますので注意してください。

また、それぞれのルールは、
就業規則に定めておきましょう。
他にも、細かい規定や例外などもありますので、
気になっていることがありましたら、当オフィスにお尋ねください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。