No.45 解雇について① [2012.06.26]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
今までに少し、「懲戒」についてお話しましたので、
関連して、「解雇」について続けて考えてみたいと思います。

「日本では解雇をしにくい。だから正社員雇用は慎重にしなければ・・・」
と巷で言われていますが、
その根拠はどこにあるのでしょうか。
まずは、解雇にまつわる法律について解説します。
解雇の有効無効については、次の二つが重要なポイントとなります。
1.解雇は、「客観的にみて合理性があり」、「社会通念上の相当性がある」
ことを求められる。

客観的な合理性の有無とは、
『解雇という重いペナルティーに見合うほどの事実があったか』
と解釈できます。

その事実は、
「労働者の問題(横領や無断欠勤など)」と
「会社の問題(業績悪化など)」に分類され、

過去の判例を拠り所にしてその合理性を判断することになります。
また、社会通念上の相当性とは、
「いわゆる一般人10人に解雇の是非について聞いてみたとして、
8人~9人が『解雇止むなし』と考えるかどうか」
と解釈できます。

上記を満たさない場合は、解雇無効(効力なし)となり、
その人との雇用関係は継続することになります。
2.解雇が有効だったとしても、多くの場合「事前予告」をしなければならない。

1の要件をみたす解雇であったとしても、
急にクビをするとその人の生活に支障がでる(かもしれない)ために、
30日以上前の予告が求められるわけです。
(労働基準法第20条)
※予告についてはさらに詳細な決まりごとがあります。
「合理性・相当性」と「予告」。

労使トラブルを防ぐためにも、
解雇のことを考えるときにはまず思い浮かべて欲しいポイントです。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.44 「遅刻3回で1日欠勤の扱い」は可能なのか?【実例】 [2012.06.25]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
【実例】(設定は、実際とは少し変えています。)
Eさんは、入社して浅いですが、とても真面目な社員です。
仕事も早くて正確と評判です。
休むこともめったにありません。
そんなEさんですが、ここ最近、少し疲れているようです。
どうも家庭で問題が起こっているようです。
睡眠不足が続いているようで、
ある日、遅刻してしまいました。
そして何日かして遅刻、そしてまた何日か後に遅刻。

いつも真面目なEさんですし、上司のS氏も心配して声をかけますが、
大丈夫と言うので、それ以上はなかなか言えない状態です。
さて、給料日になりました。

Eさんの給料、遅刻について、
・・・3回遅刻ということで、1日欠勤とされ、
その分の給料が引かれていました。
驚いたEさんは、まずは上司のS氏に確認しましたが、
S氏もそれは経験がなく答えられませんでしたので人事に確認したところ、
就業規則、賃金規程に定めがあるとのことでした。

給料が、多少引かれることは覚悟していましたが、
こんなに引かれるとは思っていませんでした。
そもそも遅刻は3回合わせても、1時間にもなりません。
この制度は本当に有効なのでしょうか???

———————————————————

この制度を導入している会社様は、たまにあるようです。
(かなり前の話ではありますが、正真正銘「実例」です。^^ゞ)

法的なところでは、解釈の分かれるところのようです。
何が問題になるかというと、
前回お話した、
「減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならない」
という部分ですね(労働基準法第91条)。

就業規則等に定めをしてあることが前提ですが、
解釈によっては法的にもクリア、と考えられますが、
違法になるとも考えられますので、
あまりおすすめできません。

というよりも・・・
そもそも、この制度の目的は、
遅刻した社員を戒め、遅刻をしないようにする制度だと思われます。
しかし、賃金に対する考え方はいろいろで、
中には、「罰金さえ払えばいいんだろ」という従業員もいれば、
そもそも、給料を引かれたことに気付かない従業員もいるのです。

ですから、罰金を取る、というような制度自体を、
あまりおすすめできないのです。
(もちろん定めることもできます。)

遅刻した従業員に対しては、懲戒処分として、
反省を促し、始末書を取るなどの処分を検討すべきかと思います。
もちろん、そこは、「就業規則」の「懲戒」と、
遅刻等に対して減給をするならば、
「就業規則」と「賃金規程」等にも定める必要があります。
おそらく、よく遅刻する従業員がいたので、
そのような従業員対策で、この制度を定めたのだと思いますが、
普段は該当しそうもないのにたまたま遅刻した従業員に適用され、
不満の原因になったりします。

制度設計は慎重に考えてくださいね。
なお、家庭の事情などで、勤務時間を変更した方がよい場合には、
柔軟に対応することもひとつの方法だと思います。

時間を短くしたり、平易な業務への転換や役職の変更等を伴う場合には、
給料を変更することも可能です。
★ただし、遅刻癖のある人間は、
9時には間に合わないから10時に変更すればちゃんと来る、かというと・・・
やっぱり遅刻することが多いので、
そこは別の対策をする必要があるでしょう。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.43 就業規則の制裁規定の制限について [2012.06.22]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日も、もう少し引き続き、
就業規則についての労働基準法に定められているところを見ていきます。
労働基準法第91条には、就業規則の制裁規定の制限が定められています。

就業規則で、
労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、
その減給は、
一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、
総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはなりません。

これは、働いているにもかかわらず、
罰金のようなものとして、給料を払わないことで、
「減給」する場合には、上限が決められています。
事例で検討してみます。

●遅刻・早退や、欠勤などにより、賃金が控除されることは問題ありません。
ただし、遅刻や早退を、例)30分単位で計算しており、
30分に満たない遅刻を30分として控除することは、
この減給にあたることになりますので、注意が必要です。

●就業規則の定めに従い出勤停止を命じ、
その期間中の賃金を支払わないことは問題ありません。

●1日に2個の懲戒事由に該当する行為があれば、
その2個の行為について、
それぞれ平均賃金の1日分の半額ずつ減給することは問題ありません。

●「減給10%」という措置を見ることがありますが、
1回の事由に基づく減給は平均賃金の半日分ですから
この措置は違法となる可能性が高いです。
複数の懲戒理由についてそれぞれに減給額を計算し、
それを合算したものを、
毎月1割以内ずつ差し引いていくことは可能です。

●減給の制裁が1賃金支払期における賃金総額の
10分の1を超えて行う必要が生じた場合、
その減給は、次期の賃金支払期に延ばすことも可能です。
なお、何らかの理由があって、減給という措置を取るわけですが、
減給することを就業規則で規定しておくことが必要です。
減給だけでなく、「懲戒」という項目を作成し、
どのような場合にどのような懲戒処分を行うか、
予め従業員に知らせておきましょう。

すでに就業規則を定めている場合は、
懲戒の項目をチェックしてみてください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。
★なお、「ひばり人事労務コラム」は、
当面、土・日・祝日の掲載をお休みすることにいたしました。

No.42 就業規則作成の手続きについて [2012.06.21]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日は、昨日に引き続き、
就業規則についての労働基準法に定められているところを見ていきます。

労働基準法第90条には、就業規則作成の手続きが定められています。
●就業規則の作成又は変更について、
労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては
その労働組合、
労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては
労働者の過半数を代表する者
の意見を聴かなければなりません。
中小企業では、労働組合のない会社等が一般的かと思います。
この「労働者の過半数を代表する者」を選ぶときには、
いくつか注意が必要です。
この代表者には、管理監督の地位にあるものはなれません。
(管理監督の地位にあるものしかいない場合は、その中から選出します。)

従業員の中から立候補、前任者の指名等による候補者から、
目的を明らかにした上で、
投票、挙手等の方法により選出します。
また、会社が指名してもいけません。

「親睦会」等を作っている会社で、
会長となったものを従業員代表としてよいか、と聞かれることがありますが、
会長となったものを、自動的に代表とすることはできません。
そのものが立候補し、または前任者が指名をするなどをし、
手順を踏んだ選出方法をとる必要があります。

●就業規則の届出には、意見を記した書面を添付しなければなりません。
(第90条第2項)

書面は意見を記してあればよく、記載内容が反対意見であっても構いません。
しかしながら・・・
反対意見を書いた書面を添付することは望ましくないでしょう。
従業員側の意見もよく聞き、納得の上でスタートすることが、
今後の運営にも効果が出ることでしょう。

会社側も、よく説明できるようじっくりと考え、
新しい就業規則をスタートさせましょう。
従業員代表は、それ以外の場面でもたびたび登場します。
選出方法を、よく覚えておきましょう。
なお、
就業規則の作成にしろ、代表選びにしろ、
会社、事業所の小さいうちからルールを作っておけば、
あとあとも、楽に運営できるのではないでしょうか。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.41 就業規則の作成および届出について [2012.06.20]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日は、就業規則の作成および届出についてお伝えします。
こちらは、労働基準法第89条に定められています。
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、
就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。
就業規則を変更したときも同様です。

「常時10人」には、常時使用していれば、パートも含みます。

★義務となっているのは、10人以上ですが、
10人未満の事業所様にも、作成をおすすめしております。
★労働基準監督署長に届け出ることが「義務」ですが、
就業規則の効力が発生するのは、届け出たときではなく、
「労働者に周知したとき」です。
こちらはまた別途、ご説明いたします。
就業規則の記載事項は、
記載が義務づけられている事項(絶対的必要記載事項)と、
その定めをする場合には記載義務のある事項(相対的必要記載事項)
があります。
●絶対的必要記載事項
次の事項は必ず就業規則に記載しなければなりません。

(1)始業及び終業の時刻、休憩時間、休日・休暇、
労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合における
就業時転換に関する事項
(2)賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切及び支払の時期、
昇給に関する事項
(3)退職に関する事項(解雇の事由を含む)
●相対的必要記載事項
次の定めをする場合には就業規則に記載しなければなりません。

(1)退職手当の定めをする場合は、労働者の範囲、
退職手当の決定・計算・支払いの方法及び支払の時期に関する事項
(2)臨時の賃金等及び最低賃金額の定めをする場合は、これらに関する事項
(3)労働者に食事、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合は、
これに関する事項
(4)安全及び衛生に関する定めをする場合は、これに関する事項
(5)職業訓練に関する定めをする場合は、これに関する事項
(6)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合は、
これに関する事項
(7)表彰及び制裁の定めをする場合は、種類及び程度に関する事項
(8)当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合は、
これに関する事項
詳しいところは随時、ご説明したいと思います。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.40 私生活上の犯罪・非行に対する解雇は有効か [2012.06.19]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
No.39では、会社の責任のある従業員の事故について考えましたが、
本日は、従業員が犯罪等を犯した場合を考えてみます。

酒に酔って暴力事件を起こした、
窃盗や不法侵入などの犯罪行為を働いて逮捕された、
痴漢等の性犯罪の加害者となった、など、
私生活上の犯罪行為や非行を理由とした解雇は有効でしょうか。

私生活上の犯罪行為等について、
会社として心情的に許せなくても、
安易に解雇をしないように注意をしなければなりません。
以下のポイントに沿ってその是非を検討してください。

**************************************************
【1.犯罪の程度】
「懲役刑なのか、数千円の罰金刑なのか」といった
刑罰の重さは解雇有効性に影響を与えうるポイントです。
例えば、「酒に酔って住居不法侵入により罰金刑に処された社員を解雇した」
事案では、
懲戒解雇の相当性がないということで解雇無効の判決が下されました。

【2.職種】
職業に貴賎はないとはいえ、
その職業に特に求められる倫理と、
起こした犯罪のバランスもポイントとなります。
プロボクサーが暴力事件を起こした場合は厳しく罰せられるのと同様に、
例えば乗客の痴漢を厳しく取り締まるべき鉄道会社の社員が、
自ら性犯罪を犯した場合は、解雇の有効性を認められやすいでしょう。

【3.就業規則上の根拠】
もちろん就業規則上にその根拠がなくてはなりません。
「刑法上の犯罪を犯し、会社の信用を著しく落とした場合は、懲戒解雇とする」
などの規定があるかを確認しましょう。

【4.会社の信用を落とした程度】
「事件がメディア報道をされた」「会社にマスコミの取材が来た」
などの事実の有無と、
その程度もポイントとなります。

【5.解雇の場合に労働者が受ける不利益の程度と、事件とのバランス】
「解雇となった時に、退職金が不支給または減額となる」
などの規定がある場合、
そのマイナス分と事件の重大性の
バランスが取れていることも求められるでしょう。
**************************************************

上記ポイントを踏まえて処分を検討してください。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.39 業務上事故の使用者責任について [2012.06.18]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
関越自動車道で4月29日に7人が死亡した高速ツアーバスの事故は、
その凄惨さから世間の大きな注目を集めています。

数年前にも、同様の事故が発生し、犠牲者が出ました。
その時から何ら変わっていなかったことが悔やまれてなりません。

価格競争に端を発する業界の下請け・孫請け構造、
労務管理体制の不備や違法性が次々に明らかになると同時に、
今後企業は、
世間からますます高い企業倫理を求められることになるでしょう。

本日は、業務上の事故の使用者責任について取り上げます。
【業務上事故の使用者責任】
そもそも、この「使用者責任」という耳慣れない言葉は、
民法上に規定されているものです。

———————————————————————
<民法715条1項>
ある事業のために他人を使用する者は、
被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
———————————————————————

つまり、仕事をしていて第三者に損害を与えた場合には、
会社には損害賠償責任があるということになります。
ただし、次の例外があります。

———————————————————————
使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、
又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
———————————————————————

これは、会社が相当の注意をしていたのに起きてしまった事故の場合は、
その範囲において会社は賠償責任を負わなくともよい、ということです。

言い方を変えれば
『「会社が相当の注意をしていた」と立証できない限りは、会社の責任はある』
ということになります。

【使用者責任の例】

●残業や休日出勤により疲労の蓄積が認められる状態で交通事故を起こした場合、
その点で企業は責任がある。

●発作を伴う病気を持った労働者であると知りながら
業務上車の運転をさせ事故を起こした場合、使用者責任がある。

●労働者が(勝手に)
不正な会計処理や公文書偽造により第三者に損害を与えた場合、
(会社が不正を命令していないとしても)
監督責任を果たしていないとなる可能性がある。
【事故を起こした労働者の責任はあるか】
もちろん事故を起こした本人にも責任があるため、
会社がその損害賠償金を支払った場合は
本人に請求(「求償」といいます)できます。

しかし、この求償の場合にも、
労働条件や事故防止策について会社の不備がある場合には制限がかかります。
会社はこのように大きな社会的責任を担っている分、
残業等の労働時間管理や内部統制には十分な対策を練る必要があります。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.38 生理休暇は有給?【実例】 [2012.06.17]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
【実例】(設定は、実際とは少し変えています。)
Kさん(♀)は、D社に入社して3か月です。
部署は総務部門で、
職場にも仕事にもようやく慣れてきました。
ある日、大変具合が悪く、
会社に行っても迷惑をかけるので、
当日の朝になりましたが、お休みをもらうことにしました。
先輩社員のT主任(♀)、風邪でも引いたのかな、と心配しています。

次の日、Kさんは出勤、
T主任はKさんから、
「昨日はすみませんでした~。」と言われましたが、
Kさんは、ケロッとした感じで体調不良でもなさそうです。

疑問に思いつつも、
仕事が忙しかったので、その日は特に何も聞きませんでした。
Kさんは、O部長に「休暇届」を提出、
理由の欄には「生理痛のため」と記載しました。
O部長(途中入社)は、それを見て、「有給」で処理をしました。
過去に働いていた会社では生理休暇は有給だったので、
特に深くは考えていませんでした。
その話を聞いた先輩社員のT主任は、ちょっと疑問に思いました。

T主任は、O部長に確認に行きました。
早速「就業規則」を見せてもらいましたが、
「生理休暇」について書いてはあるものの、
給料がどうなるかについては特に書かれていませんでした。

T主任の気持ちはこうです。

Kさんは、まだ入社したてなのに、
具合が悪かったとはいえ、当日連絡で欠勤し、
自分に仕事のしわ寄せがきて、
その上、その理由が「生理休暇」の場合は有給になるなんて・・・

生理痛のひどい方はいるとは思うけれど、
生理休暇はほんとに有給なの?
風邪でも引いたというなら次の日も具合悪いだろうからわかるけど、
次の日はケロッとしていたし、証明もできないじゃないですか!
なんだか理不尽です。
O部長は、改めて「就業規則」を確認し、
休暇の、給料の扱いについて曖昧になっていることを認識しました。
今回は、特に説明等もしていなかったので、
Kさんの休暇は有給として扱うが、
近々に、いろいろな角度から就業規則の見直しをし、
T主任の意見も聞いてくれることになりました。

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いわゆる「生理休暇」は、
労働基準法第68条に定められています。

(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
第68条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、
その者を生理日に就業させてはならない。

これは、「日」だけでなく、時間でも構いません。
年次有給休暇と違って、変更するわけにもいきません。
また、証明するものも必要とせず、自己申告となります。

ただし、給料については定めがなく、
有給とするか無給とするかは会社で決めることができます。

中小企業では、
無給とし、有給休暇に振り替えることができる、
とするのが一般的かと思います。
生理の状態は、人によって大きな違いがあります。
男性はもちろんのこと、
女性でも、そこには差があるので、理解しにくい場合もあります。
また、それを利用している女性も残念ながらいると思います。

はじめにしっかりルールを作っておくことが必要ですね。

ちなみに、生理の重い方で病院にかかったことがない場合は、
相談してみることも大事です。
漢方薬が有効であったり、他の病気が隠れていることもあります。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.37 ハローワーク職員、情報漏えいで逮捕(その教訓)【ニュース】 [2012.06.16]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
本日は、ニュースからの考察です。
今月初め、ハローワークの職員が、
雇用保険の情報を漏えいしたということで、
国家公務員法違反の疑いで警察に逮捕されました。

また、受け取った側の情報会社の社員も逮捕されました。

そして、それを受け、厚生労働省の対策が発表されました。
このニュースから、何を考えればよいでしょうか。
どの部門に限らず、
「就業規則」等に、情報の取り扱いについて定め、
退職後であっても漏えいしてはならない旨を記載します。
入社時および退職時には、
個別に「秘密保持誓約書」等を取得しましょう。

今は「情報」の時代で、
どんな部門で働こうと、「守秘義務」はありますが、
人事部門の従業員は、特に、
「守秘義務」ということに気を使います。

今回の事件のように、外部に漏えいするということは、
めったにあることではありませんが、
人事部門が気にするのは、
内部(同僚)へも秘密を守る必要があるということです。
で、飲み会に行っても、
他の従業員は、情報を得ようとカマをかけてきたりします。

人事担当者は孤独になりがちなので、
ストレスからのメンタルヘルス不調にも、
気を配る必要があります。
直接の関係はないかもしれませんが、
「他山の石」としましょう。
ニュースを抜粋しておきます。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

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「職歴情報漏えい:1000件超か 数年にわたり、やり取り」

毎日新聞 2012年6月3日

横浜市中区の横浜公共職業安定所(ハローワーク横浜)の
職歴情報漏えい事件で、
国家公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで
愛知県警に逮捕された非常勤職員のN容疑者(47)が、
これまでに1000件以上の情報を部外者に不正に漏らしていた疑い
のあることが県警への取材でわかった。
西沢容疑者は全国の雇用保険の被保険者のデータに自由にアクセスでき、
九州や南関東など全国の被保険者の情報が外部に流出したとみられる。
捜査関係者によるとN容疑者は11年1月以降、
全国の被保険者約4万8000人の情報にアクセスした記録が残っており、
ほかの職員よりアクセス数が多く
漏えいは少なくとも1000件以上あるとみて捜査している。
調べでは、同法違反容疑で逮捕された調査会社役員、F容疑者(51)は、
複数の調査会社の依頼を受け、
N容疑者に情報提供を依頼し職歴情報を不正取得。
2人は数年にわたって情報をやり取りしていた可能性があるという。
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「ハローワーク情報漏えい 対策強化」

NHK WEB 2012年6月13日

横浜市のハローワークの相談員が
雇用保険に加入している人の個人情報を外部に漏らしたとして
逮捕された事件を受けて、
厚生労働省はハローワークの職員が閲覧した個人情報の内容を
毎日、上司に報告させるなど情報の
漏えいを防ぐための対策を強化することになりました。
横浜市にある「ハローワーク横浜」の47歳の相談員の女は、
雇用保険に加入している人の職歴などの個人情報
を調査会社に漏らしたとして、
今月1日国家公務員法違反の疑いで警察に逮捕されました。

この事件を受けて、
個人情報の漏えいを防ぐための対策を検討していた厚生労働省は
新たな対策をまとめ、12日、全国の労働局に通知しました。
それによりますと、個人情報にアクセスする権限を、
窓口で対応する支援員など特定の業務に当たる職員に制限するほか、
職員が個人情報を閲覧した場合、
その内容や件数を毎日、上司に報告するとしています。
さらに、個人情報を閲覧した理由について調べる
「抜き打ち検査」も定期的に実施するとしています。
厚生労働省は「個人情報の適正な取り扱いを徹底し、
綱紀粛正を図りたい」と話しています。
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※このページでは、容疑者の実名を控えさせていただきました。

No.36 社会保険の加入要件について [2012.06.15]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。
No.7において、新規で加入する社会保険についてお伝えしました。
No.7 社会保険の加入②社会保険

本日は、それを踏まえて、確認にてご説明をしたいと思います。

以下の民間企業は、
社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する必要があります。
・個人事業(従業員5人以上、製造業・卸売業などのうち16業種)
・法人企業(従業員の数は問わない)
また、社会保険には「被保険者」となる基準が定められています。
その基準とは、どのようなものでしょうか。
まず、正社員は社会保険被保険者となります。
正社員以外は、主に以下2つ条件でしたら加入しなくてよいとされています。
【1.正社員と比べて「働く時間」か「労働日数」が3/4未満の者】
(a)正社員の週所定労働時間が40時間の場合
【40日 × 3/4 = 30時間】未満
(b)正社員の月の所定労働日数が22日の場合
【22日 × 3/4 = 16.5日】未満
パートタイマーの労働条件について、
上記の「時間」または「日数」をひとつの基準として
社会保険加入の有無を判断してください。

なお、社会保険加入に関する行政調査の際には、
「契約上」よりもむしろ「実態」を元に適用を判断されます¬¬¬¬¬。
つまり、たとえ契約上は社会保険適用除外であっても、
実態として基準を超えていれば「社会保険適用すべし」となります。
この点で、社会保険加入基準ギリギリのパートタイマーについては、
時間などの管理を厳格に行うことが必要でしょう。

補足として、前述の労働時間(週30時間未満)を基準とする場合、
その30時間を月に換算すると概ね「130時間」となります。
月次の労働時間を見て130時間を超えている場合、
社会保険の加入義務があると判断されますので、参考にしてください。
また、前述の(a)(b)は
「どちらかひとつを満した」場合は適用除外となりますので、
社会保険に加入をしないためには
「労働時間を抑える」か「労働日数を抑える」かのいずれかの方策を取ればよい、
ということになります。
【2.日雇いや2月以内の期間雇用者】
いわゆる期間雇用者などについては、
上記のように適用除外要件が定められています。
その他にも要件はありますが、
以上の2つを代表的なものとして覚えておくと便利です。

以上、社会保険の加入要件についてでした。

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。