No.18 適切な休職期間は?【実例】 [2012.05.28]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

本日は、実例からお送りします。

【実例】(設定は、実際とは少し変えています。)

 

「M社長」は、「B株式会社」(従業員5千人)を早期退職し、
自身で「株式会社MM」を興したばかりです。

新卒でB株式会社に入って以来、営業畑で活躍、
営業部長も任され、部下を育て、その信任も得ていました。
M氏が起業するなら一緒にやりたい、という仲間も多くいました。

 

まずは、同じ会社出身の、
「総務担当のK氏」と、「営業担当のF氏」で業務をスタート。

M社長は、事務系の業務は苦手で、
営業戦略を練って、F氏とともに営業活動を始めましたが、
事務まわりは、総務部で役職も務めたことのあるK氏に任せました。

次月にはそれなりの人員で本格スタートすることにしたので、
K氏は、いろいろと準備を進め、
「就業規則」も作成することにしました。

K氏は、前職で「就業規則」の作成にもかかわったことがあります。

 

本格スタートを迎え、
「就業規則」の件は、K氏にすべて任せました。
従業員代表には、営業担当のF氏が立候補し、
他の従業員からも賛同を得ましたので、無事に届出も済ませました。

 

数か月が経って・・・

 

K氏が体調を崩してしまい、診断書の提出も受けました。

立ち上げから一緒にやってきた幹部です。
M社長も、休職制度があることは知っていましたので、
しばらく休んで療養に努めてもらおうと思い、「就業規則」を見ました。

 

「私傷病による休職期間・・・3年」

 

さ、さんねん?

 

K氏も、
少し時間はかかると思うけれど、
必ず復帰する、と言っているそうです。

 

いろいろ調べた結果、給料は、払わなくてもいいらしい、
でも、社会保険料は払う必要があるようだし、
他の従業員に与える影響もあるし・・・

とはいえ・・・今更仕方がない・・・

 

それにしても・・・
なぜ休職期間を3年にしたのか?
聞くと、K氏は、「B株式会社」の就業規則をもとにして、
「株式会社MM」の就業規則を作成していたのです。

 

M社長は、起業するときにものの本で、
世間にあるひな形の就業規則では危ない、ということは、
読んだ記憶がありました。
しかし、K氏は、就業規則を作成したこともある総務経験者です。
大丈夫だと思ったのに、かえってそれが逆効果となってしまいました。

 

幸い、K氏は、約6か月の療養後、仕事に復帰することができました。

M社長は、K氏に、就業規則について率直な希望を述べ、
就業規則の改訂に着手しました。

 

従業員にとって不利益な変更も含まれますが、
今度こそ、M社長自身が従業員に趣旨を語り掛け、
従業員の賛同を得て、
小さいけれど希望がいっぱいの「株式会社MM」にふさわしい、
新しい就業規則が完成しました。

休職期間は、
勤続年数もからめて1~6か月になりました。
(細かい規定は割愛いたします。)

 

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.17 休職について考える [2012.05.27]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

 

今日は、「休職」について考えてみます。

 

休職とは、
「私傷病や留学、公務など労働者の個人的事情の発生に対して、
在籍扱いのまま労働義務を免除する制度」です。

休職は、法律上必ず与えなければならないものではなく、
会社の任意とされています。
つまり「休職制度なし」としても一向に構わないというわけです。

とはいえ、実際に社員が長期病欠や留学をすることになると、
いきなり「労務の提供ができなくなったから解雇」との対応もしにくい。

そこで「休職」という制度を設けているわけです。

 

「休職」について大事なことは以下の3点です。

1.期間について定めること
2.休職期間中の賃金支払いについて定めること
3.休職期間満了時の取り扱いについて定めること

 

ひとつずつ見てみましょう。

 

1.期間について定めること

中小企業の場合、期間は通常1~3ヶ月程度でしょうか。
勤続年数によって休職期間に差を設けることもあります。

近年注意しなければならないことは、
休職期間の「通算」「延長」でしょう。

特に、メンタルヘルス不調による休職の場合、
類似傷病による休職を繰り返すケースが想定できるため、
その場合の通算方法や延長方法についても定義が必要です。

(メンタルヘルス不調による休職の場合、
類似傷病による休職期間は通算するほうが休職制度の趣旨に合致する、
という考え方が主流です。
メンタルヘルスに関することは、別の機会に譲ります。)

 

2.休職期間中の賃金支払いについて定めること

休職期間中は労働実態がないため、賃金支払いはなくてもかまいません。
大企業の場合、
休職後一定期間所得保障のため賃金支払いをすることもあります。
ただ、健康保険の傷病手当金をうまく活用して、
休職者の所得保全をする方法はあります。

 

3.休職期間満了時の取り扱いについて定めること

休職期間が終わった後どのように取り扱うか、
復帰させるとしたらその判断根拠はどこにあるのか、
などを定める必要があります。

中小企業では、病気による休職の場合、
休職期間満了時に傷病の状態が勤務復帰に足るほど回復していない場合、
退職扱いとすることが多いようです。

 

休職については、労働者としての地位に関わる部分であり、
とかくトラブルの種になります。
気をつけて管理をしましょう。

 

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

 

No.16 作成が義務付けられている書類③出勤簿 [2012.05.26]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

 

従業員を雇用する各企業に整備を義務付けている帳簿、
労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、
の、「法定3帳簿」について説明しております。

 

本日はそのうちの「出勤簿」についてです。

 

「労働者名簿」「賃金台帳」は、
「労働基準法」に条文としてしっかりと書かれています。
が、
法定3帳簿の一つで括られることの多い「出勤簿」ですが、
何を記載すべきかといった事柄は定められていません。

賃金台帳は、その記載事項として、
労働日数、労働時間数、
時間外労働・休日労働・深夜労働を行った時間数、
が定められています。

会社は、「労働者の労働時間数等を把握する」必要があります。

「出勤簿」は、この労働時間数等を確認するための帳簿であり、
労働時間数等を確実に把握できるのであれば、
どんな方法でも大丈夫というわけです。

 

ただし、厚生労働省による通達があります。
(「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」)

それによると、

1.「使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること」
2.「タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること」

の、どちらかの方法によって、
労働者の始業時刻・終業時刻を確認・記録すること、
が原則とされています。

 

正しい方法で行われていれば、
「自己申告制」による
始業時刻・終業時刻の確認・記録も認められています。

タイムカードを使用している会社も多いと思いますが、
それがあれば確実ですし、
タイムカードを使用せずに「自己申告制」でも構いません。

とはいえ、自己申告制をとるならば、
きちんとルールを決めておくことが大切です。

 

労働時間の把握は、
会社にとって、これからますます重要になってきます。
これからどんどん、そのあたりのお話もしたいと思っています。

 

ちなみに、出勤簿は、
労働基準法第109条により、3年間保存することになっています。

 

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.15 作成が義務付けられている書類②賃金台帳 [2012.05.25]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

 

労働基準法で、
従業員を雇用する各企業に整備を義務付けている帳簿、
労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、
の、「法定3帳簿」について説明しております。

 

本日はそのうちの「賃金台帳」についてです。

 

賃金台帳に記載すべき事項は次のとおりです。

1.労働者氏名

2.性別

3.賃金の計算根拠の事項

4.基本給や手当などの内訳

5.労働日数

6.労働時間数

7.時間外労働時間数

8.深夜労働時間数

9.休日労働時間数

10.控除項目、及びその額

 

賃金台帳は、
全ての労働者について作成しなければなりません。
「労働者名簿」は、日雇労働者は必要ありませんが、
「賃金台帳」は必要です。
もちろん、パートタイマーやアルバイトも、
賃金台帳を作成する義務があります。

また、
賃金支払の都度遅滞なく記入しなければなりません。

管理監督者の賃金台帳については、
時間外労働や休日労働の時間数は記載不要ですが、
深夜労働の時間数は記載しなければなりません。

 

賃金台帳は、
労働基準監督署の調査でも必ずチェックされる書類ですので
不備のないようにしてください。
毎月きちんと勤務状況を管理していないと、これらの項目は書けませんね。

なお、代表取締役社長などの会社役員は、
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者となりますので、
社会保険の調査の場合にはチェックされます。
一般労働者と同様に労働者名簿・賃金台帳の作成が必要になります。

 

ちなみに、賃金台帳の作成義務(労働基準法第108条)違反
についても、
30万円以下の罰金が定められています。

 

賃金台帳の保存の義務は、
労働者の最後の賃金について記入した日より3年です。
労働基準法第109条によります。

 

ちょっと別のお話ですが、
退職金債権は5年経過しないと時効消滅しないので、
退職金に関する労務管理書類は、
その労働者への退職金支払期日後5年間は保存しておく必要があります。

 

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.14 作成が義務付けられている書類①労働者名簿 [2012.05.24]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

 

従業員を雇用する各企業に義務付けられている書類について説明します。

 

労働基準法では、
法定帳簿の整備を義務付けています。
「労働者名簿」、「出勤簿」、「賃金台帳」のことで、
「法定3帳簿」と呼んだりします。

 

本日はそのうちの「労働者名簿」について説明します。

 

労働者名簿に記載すべき事項は次のとおりです。

1.労働者の氏名

2.生年月日

3.履歴

4.性別

5.住所

6.業務内容 (労働者の数が30人未満の場合は記載しなくてよい)

7.採用の年月日

8.退職(解雇)の年月日とその理由

9.死亡の年月日とその原因

労働者名簿は、
全ての労働者について作成しなければなりません。
(日雇労働者は除く)
パートタイマーやアルバイトも、
労働者名簿を作成する義務があります。

また、労働者名簿の記載内容(住所や氏名など)に
変更があったときは、
遅滞なく訂正しなくてはなりません。

労働者名簿がない、記載内容に不備がある、などは、
是正勧告の対象になることもあります。

労働基準監督署の調査でも必ずチェックされる書類ですので、
不備のないようにしてください。

 

ちなみに、
「労働者名簿の作成義務(労働基準法第107条)違反」
については、 30万円以下の罰金が定められています。

そして、労働者名簿は各事業場ごとに作成することになっています。

 

労働者名簿の様式については特に取決めはありませんので、
まずは、最低限の項目でよいので作成しておきましょう。

退職者の、退職年月日をお忘れなく。
その時に一緒に、
保存期間の最後の日を記載しておくとよいでしょう。

労働者名簿は労働基準法第109条により、
労働者の退職、解雇又は死亡の日から
3年間保存することになっています。

 

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.13 ≪しあわせうつ≫誰でも「うつ」になる可能性がある。 [2012.05.23]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

 

今日は少し、「うつ」のお話をしたいと思います。

メンタルヘルスの不調を訴える方が非常に増えています。

メンタルヘルス不調は、「うつ」だけではありませんが、
「うつ」にもいろいろ種類があります。
メンタルヘルス不調について全部考えると大変なので・・・
これから法的にも何かと対策が必要になってくることもあり、
「うつ」について少し理解をしていただくのが有効かなと思いますので、
少しだけ、お話をさせてください。

 

さて、「うつ」というと、どんな人がなるものだと思っていますか?
精神的に弱い人、社会になじめてない人、
真面目な人、細かい人、抱え込む人・・・
いろいろ浮かぶことと思います。

では「うつ」になりそうもない人はいかがですか?
おおらかな人、いつも明るく元気な人、
体育会系の人(笑)、
まさか自分はならないよ、と思っている方も多いことでしょう。

確かに、こういう人はなりやすい、という傾向はあるでしょうが、
「こういう人はうつにはならない」ということはありません。

 

「うつ」は、「こころのやまい」などと言いますが、
実際は「脳」の問題です。
ストレスがたまったとき、少し休みなさい、と言ってくれる状態です。

 

ではどんな時に「休みなさい」と言われるのか。

原因はほぼ、「環境の変化」です。
「環境の変化」でストレスを受けたときです。

 

大きな事件や事故に遭ったわけでなくても、
(その場合はPTSDと呼ばれる状態が多く、
うつに移行することもあります)
環境の変化が起こったとき、
脳はストレスを感じ、休みなさいと言うのです。

真面目な人であろうと、明るく元気な人であろうと、

体育会系の人であろうと、
誰でも、「うつ」になる可能性を持っているのです。
体育会系→例えば・・・プロスポーツの関係者でも、
メンタル不調を抱えている方は多くいらっしゃいます。

 

誰でも「うつ」になる可能性がある、という話のとき、
例に出されるものがあります。

「しあわせうつ」と呼ばれるものです。

 

結婚したとき、
子供が生まれたとき、
マイホームをもったとき、
あるいは・・・昇進したとき・・・

端から見ると、幸せだと思うこと、
もちろん本人も幸せだと思っていると思います・・・
でもそこに「環境の変化」があったことで、
脳がストレスを受けて、うつになることがあるのです。

 

結婚したことが原因でうつになる、
あまり考えられませんよね?!
(もちろん、いい人だと思っていたのに暴力夫だった、
とかいうのは別の問題です。)

住まいが変わり、生活パターンが変わり、
金銭の使い方も変わったり、いろいろと予想外のこともあります。
幸せだけど・・・ストレスがあるのです。

 

うつになるのは、
いろいろなことに不慣れな人→ストレス耐性の弱いとされる人、
ではなく、
「ストレス耐性の強い」と判断されているような人も、
突然、不調を訴えることがあり、
そういう場合は、復帰まで長い時間を要します。

 

うつになる人は弱い人、ではなく、
誰でもうつになる可能性がある、
ということを、まずは認識していただければと思います。

 

本日も「アロドラ人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.12 36協定の作り方のポイント [2012.05.22]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

 

「時間外労働・休日労働にかかる協定書」、
いわゆる「36協定」について簡単にご説明しました。

今日は、この「36協定」の具体的な内容についてご説明します。
(労働基準法第36条に定められているため、よく「36協定」と呼んでいます。)

 

★36協定届とは、
法定の労働時間を上回る労働、あるいは休日労働をさせる企業において、
「どんな状況下でどのくらいの残業等があるか」を労使間で取り決め、
協定という形式で締結した書面のことを指します。

 

この協定を行政官庁に届け出していない場合、
労働基準法違反を指摘されることになります。

時間外労働がまったく起こりえない職場の方が例外的であるため、
ほぼすべての企業・業種において、
36協定の締結届出は必要であると言えます。

 

36協定には、以下4つの要素を盛り込む必要があります。

1.時間外又は休日労働をさせる必要のある具体的事由
「決算期の事務処理繁忙のため」「注文が集中し作業が遅延したため」
などと記載。
2.業務の種類・人数
「営業」や「事務」など、職種ごとに労働者数を記載。
3. 時間外労働の限度時間、および労働させることのできる休日
4.労使協定の締結日・有効期限

 

★時間外労働の延長の限度基準

36協定を締結すれば無制限に残業を命じることができるのではなく、
一定の限度基準が設けられています。

 

一般的な場合     1年単位の変形労働時間制
1週間: 15時間    1週間: 14時間
1か月: 45時間    1か月: 42時間
1年 :360時間      1年 :320時間

 

★特別条項付き36協定とは

上記表によると、1か月の残業限度時間は45時間、
1日換算でおよそ2時間程度です。

 

しかし実際には、
日本の労働環境において2時間を超える残業は発生しやすいため、
「例外として限度時間を超えてしまう場合もありますよ」と、
協定に追記することができます。
この追記がなされた36協定を「特別条項付き36協定」と言います。

 

それでは結局、残業時間の上限はないのか、というと、
もちろんそのような事はありません。

 

平成22年に、一定規模以上の企業において、
月あたり45時間以上の時間外労働については割増率を上げる努力義務、
月あたり60時間以上については割増率を50%以上とする旨の
法律改正がありました。

また、労働安全衛生法上も、
月あたり80時間を超える時間外労働をさせた場合、
医師による面接指導等が必要になる場合があります。

前者は事業所規模によりますが、
後者は、中小零細事業所も、対策をしておく必要があります。

 

割増賃金を支払うという費用の面からも、
労働者の健康や環境の面からも、
時間外労働そのものを削減する、努力、工夫が求められています。

 

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.11 「36協定」の締結 [2012.05.21]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

 

従業員を雇ったとき、必要となる届出についてです。
まずは、「時間外労働・休日労働にかかる協定書」が考えられます。
これは、よく、「36協定」と呼ばれているものです。

 

なぜ「36協定」と呼ぶかというと、
労働基準法の第36条が、「時間外及び休日の労働」について書かれており、
そこから36協定(サブロクキョウテイ)と呼ばれています。

労働時間は、1日について8時間、1週40時間と定められています。
(例外もありますが、ここでは割愛します。)
また、休日については、週に1日(または4週で4日)は
休ませなくてはなりません。

 

事業の運営上、
この定められた労働時間(または休日)を超えて、
労働をさせる場合も起こり得ます。

時間外労働、休日労働を命じることがあることを「就業規則」等に定め、
かつ、
「時間外労働・休日労働にかかる協定書」(36協定)を締結し、
労働基準監督署に届け出をしなければなりません。

時間外労働をさせたら、割増賃金を払えばよい、
という問題ではなく、
届出をしていないと、時間外労働をさせることはできないのです。
時間外労働、休日労働を命じる前に、協定し、届出をしましょう。

 

なお、時間外労働、休日労働は、あくまで会社が命じるものです。
従業員からの申請も考えられますが、
その場合も、申請書等提出させ、承認するべきでしょう。
その流れも「就業規則」等に定めておくとよいでしょう。

 

また、36協定は、法定労働外の定めと考えられますので、
もし、会社の所定労働時間が、1日7.5時間、等になっている場合は、
8時間を超えた部分をカウントすることで大丈夫です。

同時に、賃金についても、「就業規則」等で、
8時間までは通常の賃金、8時間を超えた部分のみ割増賃金、
と決めておくことが必要ですね。

時間外労働に対して割増賃金を支払う、とだけなっていた場合、
またパートさんにも同じ就業規則を適用していた場合、
所定の時間を過ぎた部分すべてが割増賃金となってしまいます。

 

36協定の作り方のポイントについては、次回、説明いたします。

 

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.10 雇用契約書の書き方のコツ②試用期間について [2012.05.20]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

引き続き、雇用契約書について
気を付けるポイントをご説明していきたいと思います。

 

雇用契約書に潜むトラブルのタネ、今回は「試用期間」についてです。

 

試用期間は法律上定めなければならないものではありませんが、
実際には社員としての適格性を見るために
(あるいは労働者側が会社の風土にならって働けそうかを判断するために)
試用期間を定めることが多いです。

また、試用期間は1~3か月とするケースが最も多いです。
これについても法律上の根拠があるものでなく、
半年でも1年でも構いませんが、
あまり長い試用期間は、不安定な状態を長く続けることになり、
よくないとされています。

 

では試用期間のどこにトラブルのタネが潜んでいるか。

それは

①試用期間中ならいつでも即時解雇できるという会社側の誤解
②試用期間で適格性の判断ができない場合の取り扱いについてのルール未整備

この二つが挙げられます。

 

①試用期間中であっても雇い入れから14日を経過した場合は、
30日以上前の解雇予告が必要です。
また、解雇には合理性と社会通念上の相当性が必要です。

②試用期間の延長の可能性についても雇用契約書上で言及するとよいでしょう。
同時に、就業規則上も試用期間延長の規定をしておきましょう。

 

試用期間はよく「お見合い」に例えられます。
ミスマッチが起らないように自社に合った定めをしましょう。

 

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。

No.9 雇用契約書の書き方のコツ①転勤について [2012.05.19]

こんにちは。下中です。
本日の「ひばり人事労務コラム」です。

雇用契約書については前にも少々ご説明しましたが、
気を付けるポイントをご説明していきたいと思います。

ちょっとしたコツで防げる労使トラブル、本日は、転勤についてです。

 

雇用契約書、いろんなところに労使トラブルの種が潜んでいます。

例えば「就業の場所」。
就業の場所は労働基準法上明示しなければならない項目ですが、
そこに転勤の可能性を明記していますか?
全国規模で事業展開をされている場合、
将来転勤をさせる可能性が少しでもあれば、その旨記載しておきましょう。

転勤拒否を巡る解雇等トラブルを防ぐには、
下記の三つが出来ていることが必要です。

①雇用契約書にきちんと記載する
②就業規則にも同様に記載する
③一方的に決めずに家庭の事情も考えた話合いの機会を持つ

 

①雇用契約書にきちんと記載する

これは個別の労働者と転勤についての合意がなされたことを
記録する目的があります。

 

②就業規則にも同様に記載する

これは転勤が「会社のルールとしても定められている」ことを示すためです。

 

③一方的に決めずに家庭の事情も考えた話合いの機会を持つ

実際に転勤を命ずる場合は、上記2つを踏まえた上で、
さらに慎重な伝え方をしましょう。
相手も人間ですから、環境変化に過敏に反応することがありあす。

 

本日も、「ひばり人事労務コラム」
お読みいただきありがとうございました。